磨くだけで40℃の温かさが口内に広がる歯磨き粉が「歯ぐきの悩み」を救うワケ:材料技術
歯を磨くだけでじんわりと温かさが広がる歯磨き粉が登場した。花王が開発した「ディープクリーン 薬用温感ハミガキ」だ。約40℃の温感で歯ぐきをケアするというユニークな製品で、40代以上の女性の4割以上が抱えるという「歯ぐきの悩み」にアプローチするために開発された。
花王は2025年9月25日、東京都内で記者会見を開き、世界初となる温感持続処方で磨くだけで約40℃の温感が広がる歯磨き粉「ディープクリーン 薬用温感ハミガキ」を同年10月4日に発売すると発表した。
3分間の温感を実現
花王が2024年7月に実施した調査の結果によれば、40代以上の女性の4割以上が「歯ぐき」に悩みを抱えていることが分かった。全体の45%が歯ぐきに衰(おとろ)えやトラブルを感じていることも明らかになった。特に「歯ぐきが下がっている」という悩みを抱えている40代女性は、30代と比べて2倍以上存在し、50代では口の悩みの中で4位、60代では2位となっている。
花王 パーソナルヘルス事業部 ブランドマネジャーの鈴木裕之氏は「一方、従来の歯磨き粉は、歯ぐきに関する症状(歯槽膿漏など)で苦しまないために予防として使われていた。そこで花王は、『思わず使いたくなり、使用した結果、歯ぐきがよくなる製品』を目指し、ディープクリーン 薬用温感ハミガキを開発した」と話す。
ディープクリーン 薬用温感ハミガキは、歯ぐき組織修復成分「アラントインクロルヒドロキシアルミニウム(ALCA)」が配合されている。加えて、油溶性成分でコーティングした無水硫酸マグネシウム(基剤)を配合した非水系温感持続処方により、3分間の温感を実現する。具体的には、油溶性分が歯磨きの際にブラッシングで剥がれ、無水硫酸マグネシウムが唾液の水分に反応し発熱する。
「約40℃の温感がじんわりと口内に広がるユニークな処方だ。歯を磨いているうちに歯ぐき組織修復成分であるALCAが歯ぐきの奥まで届き、内側まで浸透する。これにより、歯周病を予防し、血色がよく張りのある歯ぐきに導く」(鈴木氏)
同製品は、歯周病を防ぐ抗炎症成分「β−グリチルレチン酸」や、口臭と歯肉炎を防ぐ殺菌成分「塩化セチルピリジニウム」、歯がしみるのを抑える「乳酸アルミニウム」、歯質を強化し虫歯を防ぐ「高濃度フッ素(450ppm)」、歯石沈着を防止する「ゼオライト」、沈着したタバコのヤニ/汚れを除去する「PEG−8」も配合されている。
同製品の香味は和漢ゆず&ハーブとなっている。内容量は85gで、メーカー希望小売価格は設定していない。
なお、今回の製品は医薬部外品で、6歳未満の子供には使用を控え、手の届かないところに保管することが推奨されている。
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