長期肌実態調査を活用して「肌の曲がり角」が2回あることを発見:医療技術ニュース
花王は、独自の長期肌実態調査を活用して5年間にわたる106人の肌変化を解析し、40歳前後と50代半ばの2回、肌状態が大きく変化する「肌の曲がり角」があることを発見した。
花王は2025年2月18日、独自の長期肌実態調査を活用し、40歳前後と50代半ばに肌状態が大きく変化することを明らかにした。
同社は、同一人物の肌性状や意識などの経年変化を継続的に追跡調査し、網羅的データベース「ウルトラ肌解析データベース」を構築している。今回、同データベースの中から2010年に16〜74歳だった日本人女性106人を対象として、2010年と2015年の顔画像を比較した。
比較する顔画像の変化データは、顔の全方位が解析できるよう、3Dの顔画像からパーツの位置が同一の平面顔画像に変換して作成した。
経年による肌の見た目は、106人分の差分画像データを用いてeigenface法で解析して把握した。さらに統計的な処理を加えて取得した、対象者の経年変化の特徴を表す第1、第2主成分の得点をグラフ上に配置すると、U字型に分布していた。
対象者の主成分得点をクラスタ分析すると、3グループに分かれた。各グループの特徴を年齢と見た目の変化で確認したところ、平均年齢31.4歳で肌の変化がほとんど見られないグループ、平均年齢47.8歳の小さなシミやちりめんジワなど比較的小さな見た目の変化が多いグループ、平均年齢61.6歳ではっきりとしたシワやたるみなど比較的大きな見た目の変化が多いグループであることが分かった。
これらの結果から、肌の見た目の経年変化は量と質が異なる3グループに分類され、各グループの平均年齢の境界となる40歳前後と50代半ばの2回、肌の見た目が変化する「肌の曲がり角」があることが明らかとなった。
同社は今後、同データベースを化粧品やケア方法などの研究開発に活用していく。
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