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小型犬における性格と遺伝子の関係の一端が明らかに:医療技術ニュース
アニコム損害保険と京都大学は、トイプードルとミニチュアダックスフントの2品種において、高い遺伝率を持つ行動特性に関連する複数の遺伝子変異を明らかにした。
アニコム損害保険は2025年2月5日、トイプードルとミニチュアダックスフントの2品種において、高い遺伝率を持つ行動特性に関連する複数の遺伝子変異を明らかにしたと発表した。京都大学との共同研究による成果だ。
犬の性格は、環境要因と遺伝要因の両方に影響を受けることが報告されている。
今回の研究では、日本で人気のある小型犬のトイプードルとミニチュアダックスフントを対象とした。犬の性格について情報収集するために飼い主にアンケート調査を実施し、因子分析を用いて収集した情報を解析した。アンケートには、活発さ、社交性、怖がり度など、性格特性に関する39項目の質問が含まれていた。
次に、ゲノムワイド関連解析を用いて特定の性格特性と関連する遺伝子領域を探索した。その結果、トイプードルでは活発さ、ミニチュアダックスフントでは人間への社交性が、それぞれ遺伝的な影響があることが分かった。
2つの性格特性と関連する遺伝子領域を調べた結果、CCDC198やASTN1に位置するSNP(一塩基多型)と弱い関連が示された。CCDC198、ASTN1はエネルギー代謝や脳形成に関与する遺伝子だ。
これまで犬の性格と遺伝子の関係に関する研究は、主に大型の使役犬で、特定の遺伝子多型と訓練の成功率の関連が示されてきた。しかし、小型犬に関する研究は十分ではなかった。
今回の結果から、小型犬の行動特性が遺伝的な要因に影響を受けていることが示唆された。
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