脱炭素は「高価」の常識を変える、LIXILが価格据え置きでCO2半減アルミを標準品に:リサイクルニュース(2/2 ページ)
LIXILが、新地金のみで作られた場合と比べてCO2排出量を約50%削減できるアルミを、2025年10月から価格据え置きで標準品としてアルミ形材製品に展開する。この取り組みは「環境に良いものは高価」という常識を打ち破るか。
自動車や家電製品の業界でも販売
標準品として展開するPremiALはリサイクルアルミ使用比率60%だ。PremiAL R70/R100は受注生産となる。
PremiALの標準展開に当たり、小矢部工場(富山県小矢部市)、下妻工場(茨城県下妻市)、有明工場(熊本県長洲町)、タイ工場、ベトナム工場といった5つのアルミ材料工場でPremiALを製造できるようにした。これにより、生産量を確保することで価格据え置きを実現した。
吉田氏は「PremiAL R70/R100以外のリサイクルアルミ使用比率は平均80%だが、ロットによりリサイクル率にばらつきがあった。今後は下限値管理を行い、製品/ロットを問わず、リサイクルアルミ使用比率を60%以上とする。これにより、リサイクルアルミ使用比率の均一化と底上げを行う」と話す。
LIXILが製造した全てのアルミ形材を対象に、第三者検証「SuMPO EPD」も取得した。その結果、PremiALにおける製造/組立加工までのアルミ1kg当たりのCO2排出量は7.1kg-CO2eq(排出される温室効果ガスが全てCO2だった場合の重量)となっており、新地金のみで製造したアルミ形材と比較するとCO2排出量を約50%削減できることが分かった。
同社ではPremiALの売上高目標として2027年度に4000億円、2031年度に4800億円を掲げている。2031年度にはリサイクルアルミ使用比率100%を目指すとともに、2019年度と比べてCO2削減目標として82万5900トンを据えている。
吉田氏は「PremiALを備えた製品のメインターゲットは建築物だが、自動車や家電の業界でも引き合いがあるため、これらの業界でも販売する。PremiALの外部販売も行う考えだ。使用済みのアルミを引き取り、リサイクルできる体制も構築している」と語った。
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