困難な加工を可能にする日本金属の「SFA 仕上げ」 環境配慮製品として販売強化へ:材料技術
日本金属は、環境配慮製品「エコプロダクト」の第5弾として、軟質化により加工性が向上した炭素鋼/炭素工具鋼「SFA(スーパーフルアーニング) 仕上げ」の拡販を強化すると発表した。
日本金属は2025年9月4日、環境配慮製品「エコプロダクト」の第5弾として、軟質化により加工性が向上した炭素鋼/炭素工具鋼「SFA(スーパーフルアーニング) 仕上げ」の拡販を強化すると発表した。今後は自動車関連を中心にさらなる販売拡大を目指す。
SFA 仕上げは、製造条件を最適化し、化学成分を変えずに素材を軟質化した日本金属独自の製品である。化学成分を変更せずに冷間圧延条件を最適化することで、製品の特性を向上させている。一般のナマシ仕上品に比べて軟質(低耐力)でありながら優れた延性を実現しており、材料の伸び幅が大きいことによって加工割れの防止につながる。また、スプリングバックが小さいので加工後の製品形状が安定する。球状炭化物の大きさは約1.0〜1.5μmで、一般的なナマシ仕上と同等である。焼入れや焼戻し後の組織硬さについては、一般材と同様である。これらの性質から、これにより加工工程の省略や歩留まりの改善が可能になり、製造プロセスのエネルギー向上や環境負荷の軽減に貢献する。
日本金属は、SFA 仕上を同社独自の基準で環境配慮製品「エコプロダクト」に認定した。2050年のCO2排出量ネットゼロを目指して、同製品を含む環境対応素材の普及を通じ、持続可能なモノ作りに取り組んでいる。同製品は日本金属の第11次経営計画「NIPPON KINZOKU 2030」のビジョンに沿った独自製品であり、「Near Net Performance(最終製品に求められる性能を素材で実現する)」をキーワードにし、顧客のニーズに応えている。
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