360度カメラで現場情報を見える化、森永製菓の「見て→継ぐ」ツール:製造ITニュース
森永製菓は、360度画像内に製品説明やマニュアル動画を埋め込み、直感的に工場内の作業手順を可視化する「ミテツグ」の提供を開始した。現場教育や業務改善、企業PRまで支援する。
森永製菓は2025年9月9日、新サービス「ミテツグ」の提供を開始したと発表した。中小企業が抱える「属人化情報」の可視化/継承課題に対し、360度全天球画像(上下左右前後の全方位が写っている写真。以下、360度画像)に説明書や動画マニュアルを埋め込むことで、工場内での作業手順を直感的に「見える化」する。技術継承や人材育成、経営改善まで幅広く支援する。
ミテツグの作業手順は以下の通りだ。まず専用カメラで工場内や作業現場を撮影し、取得した360度画像を管理ツールにアップロードする。次に、画像内の任意の箇所に説明書や製品情報、写真、動画マニュアルなどをドラッグ&ドロップで登録する。完成した360度画像はGoogleストリートビューのように上下左右自由に操作ができ、画面上の情報マークをタップすると該当箇所の情報が表示される。PCやタブレット端末での閲覧に対応しており、撮影機器はレンタルすることも可能である。
先行事例として、食品メーカーの小浜食糧が2025年2月より導入した。同社は手順書の文章化などに課題を抱えていたが、ミテツグを活用して画像内に書類情報の関係図や動画マニュアルを埋め込んだところ、作業手順の見える化につながったという。
起案者の森永製菓 新規事業開発部の高橋佑介氏(「高」は「はしごだか」)は「約20社を訪問する中で現場の情報属人化や継承手段の欠如に課題を感じ、ミテツグの開発に踏み切った。『見て→継ぐ』のコンセプトの下、中小企業の製造品質や安全面の強化など食品業界以外の多様な現場での活用も見込んでいる」と語る。
森永製菓はそのほかオプションとして、業務改善アプリの紹介や動画マニュアルの作成代行、補助金や助成金の獲得支援サービスなどを提供する。
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