フィジカルAIに向け、製造現場とロボットのデジタルツイン支援メニュー追加:製造ITニュース
菱洋エレクトロは、企業向けAI導入支援プログラムにデジタルツイン導入支援メニューを追加した「RYOYO AI Techmate Program for Digital Twin」を提供開始する。製造業やロボット分野での活用を後押しする狙いだ。
菱洋エレクトロは2025年8月27日、企業向けAI(人工知能)導入支援プログラムにデジタルツイン導入支援メニューを追加した「RYOYO AI Techmate Program for Digital Twin」の提供を9月より開始すると発表した。生成AIが生むデジタル空間の成果を実世界へと接続する「フィジカルAI」時代を見据え、製造業やロボット分野での活用を後押しする。
新メニューは、人材育成から開発実装までを一貫して支援する。まず、「NVIDIA Omniverse」や「NVIDIA COSMOS」など主要ツールのトレーニングプログラムを提供。次に、設計、シミュレーション、自動化の実装力を備えた外部パートナーとのマッチングを行い、個別の課題に即した体制づくりを支援する。
コンサルティングでは、「生産設備の自動化と人の動きを同時にシミュレーションして現場に実装したい」といったテーマを起点に、急速に進化するデジタルツイン技術や最新事例を踏まえた最適解を提示する。
開発面では、製造ライン最適化や自動化に向けた技術選定、ロボット動作設計、CAD連携、合成データの利活用を技術面から支援する。リファレンスアーキテクチャやNVIDIAのロボットシミュレーション基盤を活用し、開発効率の底上げも図る。さらに、オンプレ運用を前提としたGPUサーバなどのハードウェア選定もカバーし、現場に適合したシステム構成を提案する。
同社はこれまで、AI学習環境の構築支援に加え、エッジ側ではNVIDIA Jetsonを含むGPU組み込みの実績を積み重ねてきた。今回、デジタルツインを正式メニュー化することで、エッジでAIを走らせるデバイス、学習を担う計算環境、動作検証を行うシミュレーション環境という「3つのコンピュータ」を束ねて提供する体制を整える。
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