ただカラフルなだけじゃない! JIS規格の色分け指針に準拠したバイトホルダー:デザインの力
あおやまは、単色が一般的だった旋盤用バイトホルダーにカラフルな色を施した国産「カラフルバイトホルダ」の製品ラインアップを拡充し、国内展示会で披露すると発表した。JIS規格の色分け指針に基づき、識別性の向上や段取り替えミスの防止など、現場の効率化や合理化に貢献する。
バイトホルダー製造メーカーのあおやまは2025年8月19日、単色が一般的だった旋盤用バイトホルダーにカラフルな色を施した国産「カラフルバイトホルダ」の製品ラインアップを拡充し、国内展示会で披露すると発表した。
カラフルバイトホルダは、同社の「Magician of the Lath」ブランドで展開している色付きのバイトホルダーだ。現場を明るくする視覚的な効果に加え、工具を色分けできるようにすることで、識別性の向上や段取り替えミスの防止といった現場効率化に寄与するという。バイトホルダーでのカラーバリエーション展開は「業界初」(同社)としている。
焼きひずみを抑えたプリハードン加工の合金製バイトホルダーに、μm単位でカラーコーティングを施しており、寸法公差に影響を及ぼすことなく、優れた防錆性を発揮する。また、チップのノーズRに合わせた個別設計により、チップの性能を最大限に引き出すことが可能であるという。
これまで、赤、青、緑、紫、白の5色展開だったが、今回新たに茶色と黄色の2色が加わり、計7色となった。
JIS規格では、工具管理や加工条件の選定を効率化する目的で、超硬合金の材種(グレード)を識別しやすくするための色分け指針が定められている。例えば、P種(鋼材加工用)は青色、S種(耐熱合金/チタン合金用)は茶色とされており、今回の新色追加はこうした指針への準拠にも対応する。同社は、JIS規格に基づいた実用的な識別手段として、現場の合理化に貢献するとしている。
チップ材種分類 | 主な用途 | 色分け(JIS推奨) |
---|---|---|
P種(鋼材加工用) | 被削材:炭素鋼、合金鋼など | 青色 |
M種(ステンレス加工用) | 被削材:オーステナイト系など | 赤色 |
K種(鋳鉄/非鉄金属加工用) | 被削材:鋳鉄、アルミなど | 黄色 |
N種(非鉄金属高速加工用) | 被削材:アルミ、銅など | 緑色 |
S種(耐熱合金/チタン合金用) | 被削材:インコネル、チタンなど | 茶色 |
H種(硬質材加工用) | 被削材:焼入れ鋼など | 灰色(白色) |
表1 JIS規格の色分け指針 |
さらに今回、レバーロックタイプホルダーの対応チップ形状として、T型三角チップとC型80度ひし形チップに対応するモデルも新たに展開。加えて、一部で□20mmシャンクも追加し、より多様な加工現場での活用が可能となった。
今回の製品ラインアップの拡充を機に、同社は「ものづくり岡崎フェア2025」(会期:同年8月27〜28日/会場:岡崎中央総合公園・総合体育館)を皮切りに、「北陸技術交流テクノフェア2025」(会期:同年10月23〜24日/会場:福井県産業会館)、「第15回 産業振興フェアinいわた」(会期:同年11月7〜8日/会場:アミューズ豊田)、「産業交流展2025」(会期:同年11月26〜28日/会場:東京ビッグサイト西展示棟)に出展し、カラフルバイトホルダの新色モデルおよび対応チップ拡充モデルの展示を行うという。
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