ニュース
トヨタのスイープ蓄電システムをマツダ本社工場で実証、電池エコシステムの構築へ:電動化
トヨタ自動車とマツダは、マツダの本社工場内において、トヨタ自動車の車載用電池を活用した「スイープ蓄電システム」をマツダ本社内の電力システムに接続する実証実験を開始した。
トヨタ自動車とマツダは2025年8月21日、マツダの本社工場(広島県府中町)内において、トヨタ自動車の車載用電池を活用した「スイープ蓄電システム」をマツダ本社内の電力システムに接続する実証実験を開始したと発表した。
スイープ蓄電システムとは、新品の電池や劣化した電池、容量の異なる異種電池を接続した状態で、各電池の通電と非通電を高速で切り替えるスイープ機能を搭載した蓄電システムのことである。トヨタ自動車とJERAが2018年から研究開発を進めている。
トヨタ自動車が「JAPAN MOBILITY SHOW BIZWEEK 2024」で披露した「スイープ蓄電システム」のデモンストレーション。直列でつないだ10個の電池のうち、3個が通電状態(赤色LED)、7個が非通電状態(青色LED)になるように遷移させている[クリックで再生]
今回の実証実験では、国内自動車メーカーで唯一、事業所内に自家発電施設を保有するマツダの本社内電力システムと、トヨタ自動車のスイープ蓄電システム双方のエネルギーマネジメントシステムを接続することで、安定的かつ高品質で効率的な充放電の実現性を検証する。将来的には、天候や時間帯により発電量が変動する再生可能エネルギーの電力需給の調整弁としてスイープ蓄電システムを活用し、カーボンニュートラルへの貢献を目指す。
両社は今回の実証実験について、日本自動車工業会が業界横断で対応を進める「モビリティ産業7つの課題」のうち、特に「重要資源の安定調達、強靭な供給網の構築」に向けて取り組んでいる電池エコシステム構築に貢献するものと位置付けている。電池エコシステムでは、電動車に欠かせない電池の二次利用を含め、国内でサステナブルに電池を再利用することを目指しているという。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
関連記事
トヨタのスイープ技術がEVの中古電池をパワコン付き蓄電システムに変える
トヨタ自動車は、「JAPAN MOBILITY SHOW BIZWEEK 2024」、EVの中古電池と独自の電池制御技術であるスイープ技術を組み合わせた「スイープ蓄電システム」のデモンストレーションを披露した。マルチパスウェイ、EVのCO2削減、車電分離……クルマの脱炭素の形は
トヨタ自動車の中嶋裕樹氏がマルチパスウェイの意義、EVが製造時に排出するCO2の削減に向けたさまざまなアプローチのアイデア、バッテリーのリユースやリサイクルに向けた“車電分離”の提案など、自動車のカーボンニュートラルについて幅広く語った。トヨタの第3世代燃料電池システムは同体格で出力2倍に、大型商用車向けも用意
トヨタ自動車は、「第25回 SMART ENERGY WEEK【春】」内の「H2 & FC EXPO【春】〜第23回 水素・燃料電池展〜」において、2026年内に市場投入を予定している第3世代の燃料電池システムを披露した。使用済みリチウムイオン電池を解体せずリユースできる容量回復技術を開発
豊田中央研究所とトヨタ自動車は、使用済みリチウムイオン二次電池の容量回復技術を開発した。リチウムナフタレニド溶液と高誘電率溶媒を混合した回復剤に、容量を回復させる効果があることを見いだした。デンソーが本社でエネルギーマネジメント、EVの電池劣化抑制にも挑戦
デンソーはEVを活用したエネルギーマネジメントシステムをデンソー本社内に導入し、移動やオフィスをカーボンニュートラルにする実証を開始した。欧州電池規制に対応、自動車/蓄電池の“日本版”サプライチェーンデータ連携始動
自動車メーカーや日本自動車部品工業会、電池サプライチェーン協議会などが設立した「自動車・蓄電池トレーサビリティ推進センター」は、自動車や蓄電池のサプライチェーン企業間でデータ連携を行えるサービス「トレーサビリティサービス」を開発し提供を開始するとともに、会員企業の募集を開始した。