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使用済みリチウムイオン電池を解体せずリユースできる容量回復技術を開発:リサイクルニュース
豊田中央研究所とトヨタ自動車は、使用済みリチウムイオン二次電池の容量回復技術を開発した。リチウムナフタレニド溶液と高誘電率溶媒を混合した回復剤に、容量を回復させる効果があることを見いだした。
豊田中央研究所とトヨタ自動車は2024年11月6日、使用済みリチウムイオン二次電池(Lithium-ion Battery:LiB)の容量回復技術を開発したと発表した。
LiBの容量低下の原因は、充電時の副反応で起こる移動可能なリチウム(Li)イオンの減少だ。両社は、容量が低下したLiBに、リチウムナフタレニド溶液と高誘電率溶媒を混合した回復剤を注入すると、Liイオンと電子を補充し、電池容量を回復させる効果があることを見いだした。
容量回復のメカニズムを理論計算と機械学習で解析し、混合溶液の電位条件の最適化を図った。実験の結果、回復剤注入前の容量に対して20〜25%程度の容量回復を確認できた。なお、充放電を100サイクル繰り返しても、サイクル劣化がほとんど生じないことも分かった。また、車載用サイズの中古LiBでも、回復剤の注入により容量回復効果を得られた。
開発した回復技術は、使用済みLiBを解体することなく簡便に再生できるため、リサイクルではなくLiBのリユースが可能になる。
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