CAEで紙/段ボール緩衝材の設計を加速 脱プラ推進に向けて技術確立を目指す:CAEニュース
パーソルクロステクノロジーは、緩衝材の脱プラスチック化を推進するため、発泡スチロールから紙や段ボール製の緩衝材への切り替えに伴う設計を、シミュレーション(CAE)で行う技術の確立を目指し、開発を進めていると発表した。
パーソルクロステクノロジーは2025年8月7日、緩衝材の脱プラスチック化を推進するため、現在多用されている発泡スチロールから紙や段ボール製の緩衝材への切り替えに伴う設計を、従来は困難とされてきたシミュレーション(CAE)で行う技術の確立に向けて開発を進めていると発表した。
現在、脱プラスチック化施策の一環として、家電製品などの保護に使われる発泡スチロール製の緩衝材を紙製に置き換える動きが広がっている。
中でも、製品のサイズや形状に合わせた緩衝材は専用設計となるため、強度や耐久性を確認する各種試験が欠かせない。そこで、シミュレーションを活用した開発の検討が進められてきたが、紙(段ボールなど)は方向によって強度特性が異なり、折れ曲がった後の現象(非線形領域)まで再現する必要があり、CAEを使った開発は困難とされてきた。このため、多くの企業が実際に試作品を作成し、試験/評価を繰り返すトライ&エラー型の開発手法に依存している。
こうした課題を踏まえ、同社はこれまで車両開発分野で培ったCAEによる開発支援の知見を活用し、段ボール/紙製緩衝材の設計にCAEを活用するアプローチの確立に着手した。
一般的な緩衝材の開発では、コンクリートや鋼板などで構築した落下面に段ボールを垂直自由落下させ、強度や耐久性を測る落下試験、圧力を加えて耐荷重性を評価する圧縮試験、輸送時の悪路走行を想定した振動試験などを行う。この際、評価対象は外装だけでなく、内容物への影響にも及ぶ。
全ての試験で試作品を作成してテストを行い、再度試作品を作り直すという従来の開発手法では、工数も費用もかかる。そこで同社は、落下試験、圧縮試験、振動試験をシミュレーションで実施することで、開発工数とコストを約2分の1に抑え、迅速かつ低コストな開発の実現を目指している。
既に、段ボールの落下試験におけるCAE手法構築の検証では、解析結果と実験結果がおおむね一致する傾向が確認されており、2025年度中のサービス開始を目標に、さらなる精度向上に取り組んでいるという。
同社は、この取り組みを通じて、政府が掲げる2030年までの脱プラスチック施策の実現に貢献するとともに、家電、精密機器/電子部品、医療機器、自動車部品など、専用設計の緩衝材を必要とする業界の課題解決を加速させたい考えだ。
(※)本記事は制作段階で生成系AIを利用していますが文責は編集部に帰属します(ITmedia AI倫理ポリシー)。
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