MR対応とサロゲートモデル連携でデザインレビューの常識が変わる!?:ものづくり ワールド[東京]2025
サイバネットシステムは「第37回 ものづくり ワールド[東京]」の構成展の1つである「第37回 設計・製造ソリューション展」に出展し、VR設計レビュー支援システムの最新版「バーチャルデザインレビュー V8.0」の「AI連携オプション」に関するデモを披露した。
サイバネットシステムは「第37回 ものづくり ワールド[東京]」(会期:2025年7月9〜11日/会場:幕張メッセ)の構成展の1つである「第37回 設計・製造ソリューション展」に出展し、VR(仮想現実)設計レビュー支援システムの最新版「バーチャルデザインレビュー V8.0」(以下、VDR8)の「AI(人工知能)連携オプション」に関するデモンストレーションを披露した。
同社のバーチャルデザインレビューは、データ変換を行うことなく3D CAD形状を仮想空間に投影でき、遠隔地にいる関係者も含めた複数人が同一空間上でコミュニケーションを図りながら設計レビューを行えるシステムである。その場でCAD形状を修正し、仮想空間内で即座に確認するといった運用が可能だ。
最新版のVDR8では、「Meta Quest 3」をはじめとするMR(複合現実)対応のヘッドマウントディスプレイ(HMD)をサポート。周囲の背景や人を含めた現実空間に、3D CAD形状を重ね合わせて表示できるようになり、サイズ感や配置の把握がより直感的に行えるようになった。
さらにVDR8では、CAEによる解析結果を高精度に予測するサロゲートモデルを活用したAI連携オプションを用意する。これにより、数値解析を用いた設計内容の妥当性の評価/検証と、その結果を踏まえた設計変更をほぼリアルタイムに仮想空間上で実施できるようになる。
「例えば、クルマのエンジンルーム内の部品レイアウトを検討する際に、熱分布や気流の様子を確認しながら、新規部品や熱対策部品の配置を決定できる。従来は設計を変更するたびに解析し直して、結果を確認する必要があったが、VDR8のAI連携オプションであれば、形状変更に伴う解析の予測結果をほぼリアルタイムで投影できる。現在は自動車メーカーを中心に提案を進めており、PoC(概念実証)に取り組んでいる段階だ」(説明員)
なお、同社では、サロゲートモデルを構築するための学習ソフトウェアとして、販売代理店も務めているNeural Conceptの「Neural Concept Studio」を使用している。また、サロゲートモデルが導き出した予測結果の見える化には、汎用(はんよう)可視化ソフトウェア「AVS/Express」が用いられている。
展示ブースでは、NVIDIAの産業用デジタルツインプラットフォーム「NVIDIA Omniverse」と「Apple Vision Pro」を用いた環境で、AI連携オプションの活用イメージを体験できるデモンストレーションを行っていた。
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