AI-CAEと形状最適化を組み合わせた熱流体領域における新たな設計アプローチ:TECHNO-FRONTIER 2025
RICOSは「TECHNO-FRONTIER 2025」に出展し、AIと形状最適化を組み合わせた熱流体領域における新たな設計アプローチを紹介した。
RICOSは、「TECHNO-FRONTIER 2025」(会期:2025年7月23〜25日/会場:東京ビッグサイト)の構成展の一つである「第27回 熱設計・対策技術展」に出展し、AI(人工知能)と形状最適化を組み合わせた熱流体領域における新たな設計アプローチを紹介した。
ブースでは、機械学習アルゴリズムを用いてシミュレーション結果を素早く予測するAI-CAEソリューション「RICOS Lightning」(以下、Lightning)と、自動でCAD形状の変更から性能検証ループを多数(数十万回以上)実行し、最適な形状を探索/提案する「RICOS Generative CAE」(以下、Generative CAE)の2製品を軸に、これらを組み合わせた設計ワークフローの提案を行った。
出展の狙いについて、説明員は「熱流体の領域に対して新たにアプローチするという目的で出展を企画した。これまで発表している実績としては、自動車の空力や空調など単層の気流が中心であったが、構造の熱を含めた熱対策や最適化といった領域にも踏み込み、より幅広い顧客層への訴求を目指している」と語る。
同社が提供するLightningは、機械学習アルゴリズムによるシミュレーションの結果予測を通じて解析作業の高速化を図り、コスト削減につなげるものだ。一方、Generative CAEは、自動で形状を生成し、大量の性能検証ループを実行する最適化プログラムである。今回、この2つの製品を組み合わせることで、顧客の製品開発を後押しすることを狙う。
「Lightningによってシミュレーションが高速化されるからこそ、形状を自動生成するプログラム(Generative CAE)があることは、利用者にとって大きな利点となる。単にAIによってシミュレーションが高速化されても、準備作業が追いつかなければ本質的な改善とはいえない。2つの製品を組み合わせることで、そのギャップを埋めることができる」(説明員)という。
例えば、Generative CAEで形状を生成して、Lightningによる解析予測によって性能を確認。その結果を踏まえて形状を再調整し、再度性能を確認するというループを、高速に実行することが可能となる。
「熱流体は1回の解析に要する時間が長いため、最適化を回すことが難しい領域といえる。今回の提案は、そこをAIでカバーするという発想と、Generative CAEが持つ、並列実行数に制限がない(無制限)という特長を組み合わせたアプローチだ。一般的な商用ソフトでは、例えば100並列を実行しようとすれば、100個のCADおよびCAEのライセンスが必要となり現実的ではない。だが、当社の仕組みではそれが可能となる。数日で10万ケースの最適化までやり切るといったことも実現できる」(説明員)
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