解析時間が20日からわずか1日に 住友精密工業がクラウド型HPC基盤の導入で成果:CAEニュース
Rescale Japanは、クラウド型ハイパフォーマンスコンピューティングプラットフォーム「Rescale」を住友精密工業が導入した事例を公開した。20日かかっていた航空宇宙部品の解析時間を1日に短縮している。
Rescale Japanは2025年7月24日、同社のクラウド型ハイパフォーマンスコンピューティング(HPC)プラットフォーム「Rescale」を住友精密工業が導入した事例を公開した。同事例では、オンプレミスで20日かかっていた航空宇宙部品の解析時間を1日に短縮している。
住友精密工業の航空宇宙熱マネジメント技術部 解析課では、自社の航空宇宙用熱交換器事業向けを中心にさまざまなCAE解析を担っている。これまで、解析はオンプレミスのワークステーションで実施していたが、CPUの制約から、大きなモデルでは1ケースの解析結果を得るために数週間を要することもあった。近年では、顧客が製品設計時に必要とするデータが大規模で複雑なものになり、オンプレミス環境では対応が難しくなったことから、Rescaleを導入した。
導入の決め手は、「利用しているアプリケーションが動作する」「CPUが数百個必要となる解析が実施できる」「解析結果を迅速に得られる」「(ユーザーエクスペリエンスに優れており)取り回しが便利」「価格競争力がある」だった。また、ユーザーインタフェースが使いやすいことや、利用分だけ請求される柔軟な料金体系も導入の理由になっている。
Rescaleの導入により住友精密工業は、数個のCPUで実施していたジョブを、数百個の最新CPUを用いて実施できるようになった。また、これまで20日かかっていた解析ジョブが、1日で完了可能になった。
解析速度が上がったことで、形状やその他の性能を検討する際の精度が向上した他、顧客に技術的な提案をするに当たって高速でのフィードバックループが可能になった。解析にかかる日数が短縮し、顧客側の技術担当者と議論するまでのフィードバックループをより速く、より多く回せるようになったことが大きな成果だ。
住友精密工業の航空宇宙熱マネジメント技術部では、Rescale導入の効果が他部署にも知られ、産業用機器など他の事業部からのCAE解析依頼にも対応するようになった。住友精密工業は今後、Rescaleの活用により、技術力と競争力を高めていくとしている。
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