比誘電率と誘電正接が低く、高耐熱性と難燃性を備える低誘電材料の新製品:材料技術
古河電気工業は、低誘電材料「Smart Cellular Board」の新製品「SCB-PPS」を発表した。比誘電率と誘電正接の低さに加え、耐熱性と難燃性、耐薬品性を備えるため、屋外装置やプリント基板などに幅広く適用できる。
古河電気工業は2025年7月29日、低誘電材料「Smart Cellular Board(SCB)」の新製品「SCB-PPS」を発表した。同年8月にサンプル提供を開始する。【訂正あり】
【訂正】初出時、本文とキャプションに誤りがありました。お詫びして訂正致します。(編集部/2025年8月14日午後7時15分)
SCB-PPSは、スーパー・エンジニアリングプラスチックであるPPS(ポリフェニレンサルファイド)樹脂を用いた材料で、比誘電率と誘電正接の低さに加え、耐熱性と難燃性、機械強度、耐薬品性を備える。加工工程で発生する熱に耐えられるため、フレキシブルプリント基板など幅広い用途に適用できる。
従来のPPSリジッド素材と比較して、比誘電率と誘電正接を約40%、密度を約70%低減しており、基地局のアンテナ基板やレドームなど、高出力機器の近傍や高温環境下でも利用できる。また、5Gや6Gで使用される高周波領域でも誘電損失が少ないことから、信号の減衰を抑え、通信機器の性能向上に貢献する。
近年、スマートフォンや生成AI(人工知能)、クラウドサービスの普及により、通信トラフィックは世界的に急増している。地方や山間部での通信インフラ整備の加速や、自動運転技術の進展も相まって、基地局やデータセンターの需要は今後も拡大が見込まれる。こうした背景から、設置場所に制約がある基地局の構造負荷を軽減し、高温に耐えられ、小型化に対応可能な高性能素材の需要が高まっている。
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