トランプ関税でMMA市況が低迷 三菱ケミカルグループの通期業績に影響:製造マネジメントニュース(2/2 ページ)
三菱ケミカルグループは、2026年3月期第1四半期の決算で、売上高は前年同期比13%減の8807億円となるも、営業利益は同9%減の609億円となった。
ベーシックマテリアルズ&ポリマーズセグメントは減益に
MMA&デリバティブズセグメントの売上高は前年同期比18%減の912億円で、コア営業利益は同65%減の39億円となった。同セグメントのコア営業利益は、定期修理影響の縮小などにより数量差が改善したものの、MMAモノマーなどの市況の下落による売買差の縮小などにより減少した。
同セグメントはMMAサブセグメントとコーティング&アディティブスサブセグメントで構成される。MMAサブセグメントでは、MMAモノマーなどの市況下落に加え、為替影響などにより売上高は減少した。コーティング&アディティブスサブセグメントでは、塗料、接着剤、インキ、添加剤用途などの需要が減退したことによる販売数量の減少により、売上高は減った。
ベーシックマテリアルズ&ポリマーズセグメントの売上高は同30%減の1911億円で、コア営業利益は36億円の赤字となった。同セグメントのコア営業利益は、マテリアルズ&ポリマーズにおいて在庫評価損益が悪化したものの、ポリオレフィンなどにおける原料と製品の価格差拡大やエチレンセンターの定期修理影響の縮小に加え、炭素事業の構造改革による売買差改善やコスト削減などにより改善した。
同セグメントは、マテリアルズ&ポリマーズサブセグメントと炭素サブセグメントで構成される。マテリアルズ&ポリマーズサブセグメントでは、高純度テレフタル酸事業における特定子会社の株式譲渡の影響に加え、為替影響や原料価格の下落に伴い販売価格が低下したことなどにより、売上高は減少した。
炭素サブセグメントでは、コークス事業における特定子会社の株式譲渡の影響やコークス生産能力縮小に伴う販売数量の減少、原料価格の下落と需要の低迷に伴うコークスの販売価格低下などにより、売上高は減った。
産業ガスセグメントの売上高は同4%減の3130億円で、コア営業利益は5%減の450億円となった。同セグメントでは、各地域で推進する価格マネジメントの効果はあったものの、為替影響に加え、総じて国内外の需要が軟調に推移したことなどにより、売上高は減少した。コア営業利益は、コスト削減の効果はあったものの、欧米を中心とした数量差の悪化や、為替影響などにより減った。
米国関税の影響について
米国関税の影響に関して、木田氏は「米国関税の影響は特にMMAの市況に色濃く現れており、想定以上にユーザーの(購入)マインドの冷え込みが大きく低迷している。通期での業績影響は100億〜200億円を見込んでいたが、それ以上になる可能性もある。ただし、具体的な数値は第2四半期決算時に再検討する。通期業績予想達成への確度は個人的には65%だと考えている。下振れがあったとしても、業績予想の修正が必要なレベルではないとみている」と語った。
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