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低〜高の湿度に対応するBVOHのガスバリアコーティング剤を開発、生分解にも対応材料技術

三菱ケミカルグループは、「第15回 高機能素材Week」に出展し、開発品としてガスバリアコーティング剤「ニチゴーGポリマー OKS-8294」を披露した。

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 三菱ケミカルグループは、「第15回 高機能素材Week」(2024年10月29〜31日、幕張メッセ)内の「第4回 サステナブル マテリアル展」に出展し、開発品としてガスバリアコーティング剤「ニチゴーGポリマー OKS-8294(以下、OKS-8294)」を披露した。

用途は食品包材のガスバリア層構築での利用を想定

 OKS-8294は、ブテンジオールビニールアルコールポリマー(BVOH)を用いたガスバリアコーティング剤だ。フィルムなどの基材にコーティングし乾燥させるだけで、フィルムの表面に無機成分の連続層を形成。この無機成分連続層が形成されたフィルムは、低湿度から高湿度までの環境で優れたガスバリア性を発現する他、透明性にも優れている。

「ニチゴーGポリマー OKS-8294」を塗布したフィルムのガスバリア性
「ニチゴーGポリマー OKS-8294」を塗布したフィルムのガスバリア性[クリックで拡大] 出所:三菱ケミカルグループ
「ニチゴーGポリマー OKS-8294」を塗布したフィルムの耐屈曲性と透明性
「ニチゴーGポリマー OKS-8294」を塗布したフィルムの耐屈曲性と透明性[クリックで拡大] 出所:三菱ケミカルグループ
「ニチゴーGポリマー OKS-8294」を塗布したポリプロピレンフィルム
「ニチゴーGポリマー OKS-8294」を塗布したポリプロピレンフィルム[クリックで拡大] 出所:三菱ケミカルグループ

 三菱ケミカルグループの説明員は、「食品包材にガスバリアを付与するために使用されるポリビニールアルコール(PVOH)は低湿度下で高いガスバリア性を発揮するが、水溶性のため高湿度下ではガスバリア性が低いというのが課題だった。この課題を解消したのがOKS-8294だ」と話す。

 使用方法は以下の通り。まずOKS-8294を水あるいはアルコール溶液に溶かして水溶液を作成する。次に、ガスバリア性を付与したい基材にアンカーコートを施した後、この水溶液を塗布。その後、乾燥させるとOKS-8294の無機層が上部に移動し高湿度下でのガスバリア性を発揮する。

「ニチゴーGポリマー OKS-8294」の使用手順イメージ
「ニチゴーGポリマー OKS-8294」の使用手順イメージ[クリックで拡大] 出所:三菱ケミカルグループ

 三菱ケミカルグループの説明員は、「当社でOKS-8294を提供する際には水溶液ではなく粉末となる。そのため、顧客が水あるいはアルコール溶液で溶かす必要がある」と語った。

 用途としては食品包材のガスバリア層構築での利用を想定している。「現状、食品包材のガスバリア層構築では低湿度から高湿度まで対応するポリ塩化ビニリデン(PVDC)を利用するケースが多い。しかしながら、OKS-8294はPVDCと異なり水溶性で生分解にも対応するため環境に優しい。これらの点を強みにPVDCの代替品として提案していく」(三菱ケミカルグループの説明員)。なお、現状はサンプル提供の段階で、発売時期は未定だ。

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