ニュース
宇宙関連機器の世界市場は2050年に78兆円へ、2024年の約4.5倍に:宇宙開発
矢野経済研究所は、宇宙関連機器の世界市場に関する調査結果を発表した。2050年の市場は78兆円規模に達するとの予測を示しており、今後も世界全体で研究開発が進むとみられる。
矢野経済研究所は2025年7月24日、宇宙関連機器の世界市場に関する調査結果を発表した。2050年の市場は78兆円規模に達するとの予測を示しており、今後も世界全体で研究開発が進むとみられる。
調査は同年1〜3月に、ロケットや人工衛星、それらに搭載する関連機器を対象に実施した。2024年は、事業者売上高ベースで17兆4861億7100万円と推計。近年は、米国や欧州、ロシア、日本に加え、中国、インドなどアジア諸国でも研究開発が進展している。
日本は1950年代から宇宙開発に取り組んでいるが、資金に限りがあるため、実証実験を重ねることは困難だ。大量生産と製造、チャレンジを繰り返して問題解決をしてきた米国とは異なり、他国にない技術で宇宙産業を開拓することが求められる。そのため、少ない機会を生かし、高い能力を持つ打ち上げ技術や小惑星探査機「はやぶさ」など、世界に誇る唯一無二の技術を展開している。
宇宙開発は、科学技術だけでなく、経済や社会、軍事にも影響する重要な分野だ。そのため、今後も各国で研究開発が活発に進められ、市場も成長と拡大が見込まれる。民間企業による宇宙ビジネスの創出など、米国の存在は圧倒的だが、日本も民間企業の参入や研究支援の動きが活発化している。他国でも大きなミッションが予定されており、今後の開発支援や宇宙関連機器市場の成長が期待される。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
関連記事
コニカミノルタのトナー除去技術は月の砂にも有効、トヨタと共同開発へ
コニカミノルタは、トヨタ自動車との間でダスト除去技術に関する共同開発契約を締結したと発表した。トヨタ自動車とともに、同社がJAXAと研究開発を進める有人与圧ローバーに向けた宇宙用ダスト除去装置の開発および開発技術を地上転用する事業化の検討を行う。ホンダの再使用型ロケットは2029年に準軌道を目指す、初の離着陸実験に成功
ホンダの研究開発子会社の本田技術研究所は、自社開発の再使用型ロケット実験機の離着陸実験に成功したと発表した。今後は、2029年に高度100km以上の準軌道への到達能力実現を目指して研究開発を進める方針である。目標地点に誤差5m以内での着陸を目指す、ロケット垂直離着陸実験
将来宇宙輸送システムは、ロケット垂直離着陸実験「ASCA 1ミッション」を発表した。今回実施する「ASCA 1.0」では、高度0.1km以上まで機体を上昇させ、目標地に誤差5m以内での着陸を目指す。次世代地球観測衛星7機を打ち上げ、先行して汎用バスシステムなどの性能検証も
アクセルスペースは、地球観測衛星「GRUS-3」7機を2026年に打ち上げる計画を発表した。この打ち上げで同社が運用する衛星コンステレーションは10機以上となり、地球上の広範囲を高頻度で観測できるようになる。ADRAS-Jが切り開くデブリ除去への道、フルレンジ非協力RPO技術を実証
JAXAとアストロスケールが商業デブリ除去実証(CRD2)プロジェクトのフェーズI「ADRAS-Jミッション」の成果を発表。同ミッションの目標である「フルレンジ非協力RPO(ランデブー、近傍運用)技術の実証」を達成しており、今後は2027年度の衛星打ち上げを予定しているデブリ除去を行うフェーズIIの準備を進めていくという。1.5μm帯光で衛星間通信の速度を1.8Gbpsに、観測データの伝送に成功
NECは、JAXAの光衛星間通信システム「LUCAS」を利用し、超大容量の観測データの伝送に成功した。先進レーダー衛星「だいち4号」と光データ中継衛星間で、光通信(1.5μm帯、通信速度1.8Gbps)を確立した。