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次世代地球観測衛星7機を打ち上げ、先行して汎用バスシステムなどの性能検証も:宇宙開発
アクセルスペースは、地球観測衛星「GRUS-3」7機を2026年に打ち上げる計画を発表した。この打ち上げで同社が運用する衛星コンステレーションは10機以上となり、地球上の広範囲を高頻度で観測できるようになる。
アクセルスペースは2025年4月9日、次世代地球観測衛星「GRUS-3(グルーススリー)」7機を、2026年に打ち上げる計画を発表した。
この打ち上げで同社が運用する衛星コンステレーションは10機以上となり、地球上の広範囲を高頻度で観測できるようになる。地球観測データは、精密農業や森林監視、地図作成をはじめ、環境、金融、不動産など多様な用途に活用する。
GRUS-3は、1機当たりの地上分解能が2.2m、観測幅が28.3km、最長撮影距離が1356kmで、高度585kmの太陽同期軌道上から安定した日照条件で地表を観測する。
全7機で1日に最大230万km2の撮影が可能で、北緯25度以上の地域では同一地点をほぼ毎日同時刻に撮影できる。パンクロマティック(白黒)、コースタルブルー、青、緑、赤といった可視光に加え、近赤外やレッドエッジといった多波長のセンサーを搭載し、植物の生育状態や沿岸域の地形などを観測できる。
また同社は、GRUS-3に搭載する汎用バスシステムや望遠鏡の性能検証のため、2025年6月以降に小型衛星「GRUS-3α」を、アメリカのヴァンデンバーグ宇宙軍基地から打ち上げる。
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