ナノレベルの加工ニーズに対応、ソディックがセラミック製ワイヤ放電加工機:工作機械
ソディックは、オールセラミック製の超精密ワイヤ放電加工機「EXC100L+」の販売を開始した。光コネクター金型などの電子部品や半導体、精密機器、医療機器でのナノレベルの加工ニーズに対応する。
ソディックは2025年7月16日、オールセラミック製の超精密ワイヤ放電加工機「EXC100L+」の販売を開始したと発表した。高速光通信ネットワークの急速な拡大を受けて需要が増している、MTフェルール光コネクター金型などの電子部品や半導体、精密機器、医療機器でのナノレベルの加工ニーズに対応する。
EXC100L+は、完全非接触XY直交テーブルを搭載し、自社製セラミック製エアスライダーとリニアモーターを組み合わせることで、ねじレス駆動が可能だ。これにより、ガイドとスライダーの間のわずかな隙間にエアを送り込み、非接触でスライドするため、摩擦や摩耗、発熱を抑制する。
この仕組みは一定の圧力によって常に真直性を保ち、ピッチング、ヨーイング、ローリングを最小限に抑えることで、最小駆動単位0.01μmという超精密加工を可能にしている。
また、加工液の噴流、循環、送液をフルインバーター化し、加工状況に合わせて加工液量を制御するほか、インバーター式加工液冷却装置で加工槽の液温を管理する。これにより、加工液処理を最適化することで、省エネ性能と高精度を両立。消費電力が従来機「EXC100L」比で最大25%削減した。
径0.02mmの極細ワイヤに対応した自動結線機能を標準装備し、凹凸のあるワークにも対応する。オプション機能として、光コネクター金型向けの「ロング丸ダイス装着アタッチメント」や、小径狭ピッチの下穴でも安定した結線ができる「Quick Up Search」機能などを用意している。
LP2W電源では、3Dソリッドモデルの活用で加工条件が自動設定されるため、熟練作業者の加工技術に匹敵する、大幅な加工性能アップが見込める。他に、無人化や省力化も期待できる。
径0.05mmのワイヤを用いて厚さ0.5mmのSKD11材の微細穴加工を実施したところ、ピッチ、穴径ともに±0.5μm以内の高精度を達成した。面粗度はRa 0.041μm、Rz 0.309μmで、MTフェルール金型の高精度加工に最適な性能を提供する。
機械本体のサイズは2250×2290×1990mm(電源とサービスタンクを含む)で、外装色には高級感のあるガンメタルグレーを採用した。LEDライト、LED銘板の設置により視認性が高まり、稼働状態を把握しやすくなっている。
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