ソディックが新たな金属3Dプリンタ、保守を簡素化し複数粉末運用も1台で可能に:金属3Dプリンタ
ソディックは金属粉末の溶融凝固による造形と切削の機能を持つ金属3Dプリンタ「OPM250L+(プラス)」を2024年11月に発売する。
ソディックは2024年8月6日、金属粉末の溶融凝固による造形と切削の機能を持つ金属3Dプリンタ「OPM250L」をモデルチェンジし、「OPM250L+(プラス)」として同年11月に発売することを発表した。2つのレーザーユニットをオプションで搭載でき、高速造形およびモニタリングによる予知保全、ヒューム処理能力向上によるメンテナンス頻度の大幅削減などを実現した。
最大造形サイズは250×250×250mmで、ヘッド移動ストロークは544×260mm、テーブル上下ストロークは250mm。最大積載質量は120kgとなっている。レーザーの最大出力は500W(オプションで500W×2)で主軸の最大回転速度は4万min-1だ。
同社の金属3Dプリンタ「LPM325S」に搭載している粉末材料の供給、回収、ふるいを自動で行うMRS(Material Recycle System)と同一のユニットを「OPM250L+」でも採用。カートリッジ式MRSの簡単な交換作業で、アルミやチタンなど複数の粉末による運用も1台の設備で短時間に対応できる。このMRSはLPM325Sとの共用も可能だ。
定期メンテナンスの主目的であるレーザ加工時に発生する金属蒸気の集積物(ヒューム)の除去、清掃用のヒュームコレクタを自社開発。造形室内の解析結果と実証による気流最適化により、稼働中の集積物の回収能力を大幅に向上させ、集積物自体をたまりにくくすることで、従来機に比べメンテナンス頻度を約2分の1に削減した。さらに機械構造自体を最適化し、作業の集約化と簡素化も図っている。
造形モニタリング機能を搭載しており、造形物の状態や各部の稼働状態を高度なセンシング技術で常時監視する。各データはNC画面でグラフ化し、ロギング、エラー閾値(注意、警告)管理をすることで造形異常の原因となる要因を常時モニタリングし、造形不良を未然に防止する。また、造形状態の履歴を残すことも可能だ。
オプションの「Material Trial Unit A/B」は、アタッチメントを取り付けるだけで、さまざまな粉末材料の試験造形ができ、30分程度で材料を交換できるだけではなく、少量の材料で試験造形が可能となり試験造形の低コスト化が図れる。
同じくオプションのグローブボックスでは、不活性ガス環境で金属粉末を投入でき、作業者も金属粉末に暴露することなく運用できる。MRSと接続することで、グローブボックスから直接金属粉末を投入できる。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
関連記事
- AM(アディティブ・マニュファクチャリング)が実製品活用されない国内事情とは何か
新しいモノづくり工法であるAMは、国内でも試作用途では導入が進んできている一方、実製品用途となると全くと言っていいほど活用されていない。本連載では、何がAM実製品活用の妨げとなっており、どうすれば普及を進められるか考察する。 - AMを実製品に活用するためには何から取り組めばいいのか
本連載では、何が金属3DプリンタによるAM実製品活用の妨げとなっており、どうすれば普及を進められるか考察する。今回は、AMを実製品に活用するには何からどのように取り組めばいいのかについて考える。 - 不良の発生と流出を防ぐAMの量産品質保証とは
本連載では、AM(Additive Manufacturing)における品質保証と、その方法を標準化した国際規格ISO/ASTM 52920について解説する。今回は、AMの品質保証について考える。 - AM製品の品質をいかに保証するか、国際規格の使い方とメリット
本連載では、AM(Additive Manufacturing)における品質保証と、その方法を標準化した国際規格ISO/ASTM 52920について解説する。今回は、ISO/ASTM 52920の使い方などを紹介する。 - 自動車を例に考える工業製品の量産品質保証
本連載では、AMにおける品質保証と、その方法を標準化した国際規格ISO/ASTM 52920について解説する。今回は、自動車を例に工業製品における量産品質保証について考える。 - 金属3DプリンタによるAMで先行する海外勢への日本の対抗策とは何か
本連載では、日本国内で何が金属3DプリンタによるAM実製品活用の妨げとなっており、どうすれば普及を進められるかを考察する。今回は、実製品活用で先行している海外勢への対抗策について考える。