AM製品の品質をいかに保証するか、国際規格の使い方とメリット:AMの品質保証とISO/ASTM 52920(5)(1/3 ページ)
本連載では、AM(Additive Manufacturing)における品質保証と、その方法を標準化した国際規格ISO/ASTM 52920について解説する。今回は、ISO/ASTM 52920の使い方などを紹介する。
品質保証は製造業において重要な要素です。近年、Additive Manufacturing(AM、3Dプリンティング技術)の普及が進み、量産への活用が始まったことにより、AMにおいても品質保証の重要性が高まっています。
AMは従来の製造プロセスとは異なる方法で製品を生産します。その結果、品質保証のアプローチも従来製法と異なり、新たな課題に直面しています。本連載では、AMにおける品質保証と、その方法を標準化した国際規格ISO/ASTM 52920について解説していきます。
連載トピック
- 品質保証
- AMの品質保証
- AM品質保証の規格 ISO/ASTM 52920
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前回の連載第4回は2つ目の連載トピック「AMの品質保証」について、工業製品における量産という視点から考えました。ざっと前回を振り返ってみましょう。
- 不良を出さないためには、発生防止と流出防止の両方が必要
- 品質ゲートを各工程間に設置し、不良の対応と改善をする
- “良いプロセスから生まれたものは良い物”の「プロセス保証」で保証する
- AM品質のプロセス保証のノウハウは国際規格で標準化されている
第5回となる今回は、連載トピックの3つ目「AM品質保証の規格 ISO/ASTM 52920」の使い方やいいところを見ていきましょう。
ISO/ASTM 52920は誰が何のために使うの?
前回まで見てきたように、品質保証とは買う側の「品質への要求」と、売る側の「その品質要求が満足されるという証明」という、両者の合意によって実現されます。では、品質保証の規格はそのどちらが使うのでしょうか。
これまで、完成車メーカーのA社、エンジンメーカーのB社、AMを活用するボルトメーカーのC社の関係から品質保証について説明してきました。
ISO/ASTM 52920はAMの品質保証のための要求事項を定めていますから、AM品質保証の当事者である買う側(B社)と売る側(C社)の両方で活用することができます。
規格と監査、認証の違い
- 規格(≒規格書)は決まりごとのリストです。規格を使う、規格を活用する、というのは規格書を購入して、読んで「この決まりは便利だな、我が社でも取り入れよう」という意味です
- 監査(厳密には認証機関が第三者として実施する場合は審査と呼ぶ)は、現場や文書などが監査基準(≒規格)でチェックすることです
- 認証(≒認証書)は、第三者認証機関が審査を実施し、監査基準への適合を認めた場合にそれにお墨付きを与えることです
それでは品質合意の当事者となるB社、C社はどのようにこの規格を使うのか見ていきましょう。
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