検索
連載

乱流の円管内の流れと圧力損失の見積もりCAE解析とExcelを使いながら冷却系設計を自分でやってみる(12)(1/4 ページ)

CAE解析とExcelを使いながら冷却系の設計を“自分でやってみる/できるようになる”ことを目指す連載。連載第12回では、乱流の円管内の流れと圧力損失の見積もりについて取り上げる。

Share
Tweet
LINE
Hatena

 パイプ内の流れにおいて、流れの状態が乱流の場合の圧力損失の見積もりについて説明します。ここでの計算は、「冷却水を流したいが、所望の流量を確保するにはどれくらいの揚程(=出口と入り口の圧力差のこと)のポンプを準備すべきか?」や、「パイプの内径を何mmにすべきか?」を決めるために使います。

 パイプの内径を変えると、必要とする入り口圧力が劇的に変わります。それでは、レイノルズ数から始めましょう。

⇒「連載バックナンバー」はこちら

レイノルズ数(Reynolds number)のおさらい

 円管内の流れの状態が層流か乱流かを判断するには、レイノルズ数を計算します。そして、その値が2300[-]よりも小さければ、層流の圧力損失の式(連載第9回)を、2300[-]よりも大きければ、本稿で説明する乱流の圧力損失の式を使います。

 レイノルズ数は式1で定義されます。分子は平均流速×直径、分母は流体の動粘性係数です。

式1
式1

 2300[-]が層流と乱流の分かれ目というわけではありません。実際には、流速を徐々に上げていった場合、レイノルズ数が5000[-]か6000[-]くらいまで層流の状態が続きます。そして、いったん乱流になった後に流速を下げていくと、先ほど乱流に切り替わったときのレイノルズ数で層流になるのではなく、もっと低いレイノルズ数で層流になります。おそらく2300[-]くらいだったと思います。ヒステリシス的な現象が見られます。

 少し脇道にそれて、外部流れと内部流れについて触れておきます。図1に示すように、外部流れとは物体の外側を流体が流れている場合のことで、内部流れはパイプの中や熱交換器の中など、物体の内側を流れる場合のことを指します。

外部流れと内部流れ
図1 外部流れと内部流れ[クリックで拡大]

 一般的なレイノルズ数は、式2で定義されています。

式2
式2

 代表長さにはいろいろなものがあります。図1左図では円柱の直径になりますが、平板周りの流れでは平板の全長とすることもあれば、先端からの距離とすることもあります。船の場合は、船の全長が代表長さになりますね。

 当然のことながら、式2によるレイノルズ数で層流か乱流かを判断するときには、前述した2300[-]という基準は使えません。しかし、外部流れで層流になる状態に遭遇することはないと思います。

Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.

       | 次のページへ
ページトップに戻る