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遠隔触診技術の確立に向け、産学共同研究を開始:医療技術ニュース
NTTと新潟大学は、遠隔触診技術の確立に向けて共同研究を開始した。触診での具体的な所作をデジタル化する要素を明らかにし、患部の柔らかさや感触を再現する技術を確立する。
NTTは2025年6月30日、遠隔触診技術の確立に向けて、新潟大学と共同研究を開始したと発表した。手指の使い方や患部の押し具合など、触診での具体的な所作をデジタル化する要素を明らかにし、患部の柔らかさや感触を再現する技術を確立する。
今回の研究では、下肢浮腫の触診所作に焦点を当てる。模擬患者を対象とし、医療従事者による触診を各種センサーやデバイスで記録し、手や指の動き、押し具合といった触診における特徴的な所作を分析、解明する。
また、触診での所作をデジタル化して遠隔地に伝達する際には、機械化や自動化は最小限にとどめる。医療従事者が直接触診する方法を生かすことで、コスト面や患者の心理的負担に配慮したアプローチを検討する。
NTTはこれまで、人の手で触診した患部の柔らかさを取得する方法や、独自の触感再現デバイスを介して患部の柔らかさを遠隔地で再現する方法について研究を進めてきた。今回の研究では、医療現場の声を聞きながら、これらの方法の有用性を評価し、精度向上を図る。なお、触覚再現デバイスは、押し込み時の抵抗感を変化させるピンをアレイ上に並べて触感を再現する。
同研究で開発する技術は、ロボットなど高額な装置を必要とせず、医療現場への導入ハードルを低くする。将来的には、離島や過疎地など医師不足の地域に対し、対面診療と遜色のない遠隔診療の提供を目指す。
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