NECが生成AIで法規制対応高度化、3つの検証で業務効率化目指す:製造IT導入事例
NECは、生成AIを活用した法規制対応の高度化に向けた社内実証を発表した。法規適合業務の変革と属人化解消を目指し、業務システムのプロトタイプで3つの検証を実施し、作業効率化や対応漏れリスクの低減を目指す。
NECは2025年7月1日、生成AI(人工知能)を活用した法規制対応の高度化に向けた社内実証を発表した。法規適合業務の変革と属人化解消を目指し、「仕組みで品質をつくる」体制構築を目指す。
複雑化する法規制に対応するため、同社は生成AIを活用した法規制対応業務の高度化を支援するソリューションの企画、開発を進めている。その一環としてこの度、品質管理部門を対象に、実際の業務現場への適合性を確認する実証を実施した。
同実証では、法規情報の内容解釈や要否判断を生成AIが支援する業務システムのプロトタイプを用いて、3つの観点で行った。
「業務プロセスに沿ったユーザーインタフェース(UI)およびユーザーエクスペリエンス(UX)検証」では、担当者が経験をもとに手作業で資料などを参照しながら行っていた業務プロセスを、プロトタイプによってどの程度代替および補助できるか、機能性と画面遷移の最適化の検証を行った。
「生成AIのパフォーマンス検証」では、改正された法規が自部門に与える対応要否判定が適切にできているか、複雑な法規文書から業務に必要な要素を正確に抽出し要約できているか、具体的な条文や記述箇所を適切に示せているか、というアウトプット精度の最適化の観点から検証した。
「業務改善の効果検証」では、属人性の解消、調査や分析、情報共有の作業効率化、対応漏れリスクの低減などの観点から、導入による業務全体の改善につながっているかどうかを検証した。
今後は、ソリューションの精度向上と、UI、UXの改善に取り組み、2025年度中のサービス提供開始を目指す。
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