地図データ大手のTomTomがプラットフォームを刷新、自動運転技術との連携も:自動運転技術
オランダのTomTom CEOのハロルド・ゴダイン氏が来日し、地図データを中核とする位置情報技術と自動運転技術の関係性などについて説明した。
オランダのTomTomは2025年7月2日、東京都内で会見を開き、年次イベント「TomTom Discover」に合わせて来日した同社 CEOのハロルド・ゴダイン(Harold Goddijn)氏が登壇して地図データを中核とする位置情報技術と自動運転技術の関係性などについて説明した。
ゴダイン氏は「約30年前の創業から地図データと位置情報技術を提供してきたが、この4〜5年で変化の速度が加速している。自動運転技術の進展、SDV(ソフトウェアデファインドビークル)のインパクト、さらには地政学的な影響も含めて、自動車業界を取り巻くダイナミクスはより複雑に、より激しくなっており、将来を予測することが難しくなっている」と語る。
このような環境下で、より高精度の地図データへのニーズが高まるとともに、ソフトウェアとしての利用法も大きく変わってきている。「昔であれば自動車メーカーのソフトウェア開発サイクルは3〜4年という単位だったが、現在は3〜6カ月と大幅に短縮している。そのためにソフトウェアのモジュール化も必要とされており、それらのモジュールは容易に統合できるとともに、常時更新できることも求められている」(ゴダイン氏)という。
これらのトレンドに対応すべくTomTomが2024年に発表したのが新たな地図作成プラットフォームである「TomTom Orbis Maps」である。同社の独自データとオープンデータを組み合わせた高精度地図データ(HDマップ)の3D表示が可能であり、交通情報やプローブデータをリアルタイムに反映したナビゲーションなどを行うことができる。現時点ではまだ日本では利用できないが、グローバルではTomTom Orbis Mapsへの切り替えが順次進んでいるところだ。
カメラやレーダー、LiDAR(Light Detection and Ranging、ライダー)などの進化により、自動運転技術を実用化していく上で高精度地図データの重要性は薄れてきているという意見もある。ゴダイン氏は「10年前だと高精度地図データは高コストだったが、現在は車両側の処理能力が高まって要件が変わってくるなど、経済的に道路網をカバーできるようになっている。さらに当社は高精度の地図を構築するためにさまざまなデータを合成する技術で先行しており、高頻度に解像度高く地図を更新することも可能になっている」と強調する。
TomTom Discoverの会場では、TomTom Orbis Mapsによる高精度の3D表示や、自動運転技術との融合イメージ、AIエージェントとの組み合わせによるルート設定機能、地図データUIを柔軟にカスタマイズできることなどを展示で紹介していた。
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