豊田自動織機の株式非公開化へ、トヨタグループ各社が連携を加速:製造マネジメントニュース
トヨタ自動車、トヨタ不動産、豊田自動織機は豊田自動織機の株式非公開化に向けて連携を加速する。トヨタ不動産が豊田自動織機の株式公開買い付けについて発表し、その取引にトヨタ自動車やアイシン、デンソー、豊田通商も参加することを表明した。
トヨタ自動車、トヨタ不動産、豊田自動織機は2025年6月3日、豊田自動織機の株式非公開化に向けて連携を加速すると発表した。
トヨタ不動産が同日、豊田自動織機の株式公開買い付けについて発表し、その取引にトヨタ自動車やアイシン、デンソー、豊田通商も参加することを表明した。トヨタ不動産は2025年12月上旬をめどに株式公開買い付けの開始を予定している。買い付け予定価格は普通株式1株につき1万6300円。トヨタ不動産はトヨタ自動車と豊田自動織機、豊田通商が1953年に設立した不動産会社だ。
豊田自動織機の非公開化に当たっては新たに持株会社を設立し、トヨタ不動産が1800億円を、トヨタ自動車 代表取締役会長の豊田章男氏が10億円を出資する。トヨタ自動車は議決権を持たない優先株で7000億円を出資する計画で、トヨタ不動産や豊田章男氏、トヨタ自動車が保有していた豊田自動織機の株式を売却し、改めて一部を再出資することとなる。
アイシンやデンソー、豊田通商も豊田自動織機の株式を売却するとともに、豊田自動織機が保有する株式の自己株式公開買い付けを行い、トヨタ自動車を含む4社間の株式の持ち合いは解消する。トヨタ自動車による優先株出資は継続する。
豊田自動織機は、フォークリフトなど物流機器の自動運転技術や物流管理のソフトウェア、パワートレインの環境性能向上に取り組んでおり、今後は物流に関するデータ活用も推進する。トヨタグループがモビリティカンパニーに向けた変革を進める中で、ヒト/モノ/情報/エネルギーの移動に着目した取り組みを進めているが、豊田自動織機はその中で「モノの移動」の領域のけん引役と位置付けられている。株式非公開化によってトヨタグループでの連携をさらに強化しながら、モビリティカンパニーに向けた変革を進めていく。
豊田自動織機の株式公開買い付けが買い付け予定価格で成立した場合、デンソーは2026年3月期(2025年度)の個別決算で投資有価証券売却益2153億円を特別利益に計上する。また、デンソーは2025年度において政策保有株の縮減と豊田自動織機の株式売却を合わせて3800億円のキャッシュ創出を見込んでいる。
また、2026年3月期の個別決算での投資有価証券売却益として、アイシンは954億円を、豊田通商は2128億円を特別利益に計上する。
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