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CFRPから炭素繊維を取り出して糸を紡ぐ、豊田自動織機のリサイクルジャパンモビリティショー2023

豊田自動織機は「JAPAN MOBILITY SHOW 2023」において、CFRPのリサイクル技術を展示した。

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 豊田自動織機は「JAPAN MOBILITY SHOW 2023(ジャパンモビリティショー、旧東京モーターショー)」(プレスデー:10月25日〜26日、一般公開日:10月28日〜11月5日、東京ビッグサイト)において、CFRP(炭素繊維強化プラスチック)のリサイクル技術を展示した。同社ではおよそ10年前からCFRPの端材から取り出した炭素繊維の再利用に取り組んでいる。

 炭素繊維の再利用は、成形済みのCFRPの端材を回収するところからスタートする。CFRPを加熱して樹脂を燃やして飛ばし、炭素繊維を取り出す。炭素繊維は高温に強いため燃えずに残る。取り出した綿状の炭素繊維を引きそろえて束ね、細くして糸にする。それを織物にし、樹脂を含侵/成形することで再びCFRP部品になる。綿状の炭素繊維を糸にする工程で、豊田自動織機の社名にもある繊維機械での紡績技術が生かされている。


写真右が成形済みのCFRPから取り出した綿状の炭素繊維[クリックで拡大]

 CFRPは熱を与えると樹脂から出るガスで燃えるので、樹脂を飛ばす工程で使用するエネルギーは多くないという。新規に炭素繊維を製造するのと比べて、リサイクル炭素繊維を紡糸する場合にはCO2排出量を80%削減できる見通しだ。実験値では樹脂を含侵して硬化した後の弾性率はバージン材から10%減、強度は30%減となるものの、設計次第で自動車部品としての許容範囲内に収められる。「アルミ材と比べて軽く強い点はリサイクル炭素繊維でも担保できる」(豊田自動織機の説明員)。


新規に製造された炭素繊維との実験値の比較[クリックで拡大] 出所:豊田自動織機

 現在はラボレベルで、年間数トンレベルのリサイクル炭素繊維の紡績糸を製造できる体制だ。十分な量の端材を確保できるよう準備しており、2〜3年後に炭素繊維のリサイクルを本格稼働することを目指している。

 リサイクル炭素繊維の具体的な用途や採用する製品についても、社内で検討を進めている。ニーズがあれば自動車以外にもリサイクル炭素繊維を供給する。リサイクル炭素繊維に対応した設計や性能評価、品質保証が可能な独自のCAEツールも開発。素材だけでなくシミュレーションや製織、成形など生産技術でもリサイクル炭素繊維の活用を支援する。

 CFRPは大部分が埋め立てで廃棄される。リサイクル技術を確立することで、環境負荷低減やCFRPの採用拡大に貢献したい考えだ。


炭素繊維の循環システム[クリックで拡大] 出所:豊田自動織機

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