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天然繊維のような質感と快適機能性を併せ持つポリエステル素材を開発:材料技術
帝人フロンティアは、新しいポリエステル素材「CIFOLA」を開発した。ランダムな太さの特殊異型断面糸から、織編構造体設計技術や後加工技術などを用いて製造した素材で、天然繊維のような質感と高い機能を併せ持つ。
帝人フロンティアは2025年5月19日、天然繊維のような質感と機能性を併せ持つポリエステル素材「CIFOLA(シフォラ)」を開発したと発表した。2026年春夏のカジュアルファッション向けに販売を開始する。
同社は、特殊異型断面紡糸技術と特殊斑延伸技術を融合させ、長さ方向と断面方向それぞれに糸が太い部分と細い部分が単糸レベルでランダムに存在する、特殊四つ山扁平断面糸を開発した。この糸を原糸とし、織編構造体設計技術や染色、後加工技術を駆使して開発した新素材がCIFOLAだ。
CIFOLAは、糸の太さの程度を不均一にし、フィラメント間の太部の相互位置も不ぞろいにすることで、天然繊維のような緻密でナチュラルな風合いを再現している。
また、特殊四つ山扁平断面糸の特徴を生かして、さまざまな機能を付与できる。繊維表面の溝による毛細管現象を活用した吸汗速乾機能や、特殊斑延伸で形成された凹凸によるべたつき防止、酸化チタンを多く含むフルダル繊維と扁平断面で肌への接触面が増加したことで、接触冷感性も備えた。糸断面の光の乱反射効果は防透、UVカットに貢献する。
なお、CIFOLAは、原料にリサイクルポリエステルを100%使用しており、環境にも配慮した素材となる。同社は今後、CIFOLAを重点プロモート素材として拡販し、2025年度に1万5000m、2027年度に25万mの販売を目指す。
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