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障害に寄り添い共に活躍する現場へ、逆境で得たITスキル生かして工程改善もメイドインジャパンの現場力(3/3 ページ)

障害者と健常者が共に働くパナソニック コネクト吉備は、グループの事業転換の影響を受けながらも、リスキリングで得た技術で新たな挑戦に取り組んでいる。同社が進めている具体的な活動内容を紹介する。

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ローコードの次はプロコードへ、ラズパイでPythonにも挑戦

 パナソニック コネクト吉備では、リスキリングで得たITスキルをさらに高めるため、ローコードだけでなく、プロコードを使ったアプリケーション開発を始めた。既に、社内向けの社食注文システムを作った。

 社員証を端末にかざすだけで注文が完了する。キャンセルしたい場合は、再度かざす。Raspberry Pi(ラズベリーパイ)にPythonを使ってプログラミングした。

 以前は、掲示された表に各自が書き込み、集計していた。新しいシステムによって自動集計でき、数え間違いが発生しなくなった。

「これまでローコードアプリで開発していたが、次はプロコード、特にPythonに挑戦したかった。さまざまな機器を使いながらシステムを組めるようになりたかった」(中村氏)

ラズベリーパイを活用して社食注文システムを開発
ラズベリーパイを活用して社食注文システムを開発[クリックで拡大]

 パナソニック コネクト吉備 ITオペレーション課 アプリ開発係の槇和成氏は精神障害があり、2018年から同社で働いている。もともと調達のサポートが業務だったが、2022年のITオペレーション/サービス事業の立ち上げに加わった。

「ここはモノづくりの工場だったので、最初、ITは正直難しいと思った。習得に向けて自分自身も頑張ったが、周囲のサポートも大きかった。パナソニック コネクトの本社から技術者に来てもらい、要件定義から開発、テスト、運用まで、システム開発の流れをしっかりと教えてもらった。また、従来の業務がなくなり、社員の中で“自分たちで何とかしなければならない”という危機感を持ったことも、うまく行った要因だと思う」(槇氏)

パナソニック コネクトの社内販売用のシステムを作成し、運用している
パナソニック コネクトの社内販売用のシステムを作成し、運用している[クリックで拡大]

RoHS検査をする従業員。車椅子でも扱いやすいように、装置を低めに置いている。車椅子がターンしやすように、机の脚の数を減らしている[クリックで拡大]

 岡山工場の閉鎖の影響で、2022年度は前年度(2021年度)比で半分以上の販売減予想となったが、ITオペレーションや新規生産対応の獲得によって挽回を図り、2024年度の販売額は2021年度比で5%以上の増加を見込んでいるという。

「障害によって不得手な部分があったとしても、それを補う仕組みなどを整えることで戦力として活躍できるようになる。そして、そのような評価が彼らのさらなる成長を後押しし、満足につながる。その手助けとなる環境づくりや寄り添いをこれからも続けていきたい。パナソニックグループ内にとどまらず、幅広くソリューションを展開することで、経営の安定にも寄与できる」(中村氏)

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