パナソニックグループと古河電工、廃家電由来の銅の資源循環でCO2を8%削減:製造マネジメントニュース
パナソニック オペレーショナルエクセレンスと古河電気工業は、パナソニック製品向けに古河電工が製造する銅合金材の原料の一部を銅地金から廃家電由来のリサイクル銅原料に置き換える循環スキームを確立し2025年6月に開始する。
パナソニック オペレーショナルエクセレンス(以下、PEX)と古河電気工業(以下、古河電工)は2025年5月19日、パナソニック製品向けに古河電工が製造する銅合金材の原料の一部を銅地金から廃家電由来のリサイクル銅原料に置き換える循環スキームを確立し、同年6月に開始すると発表した。これにより、銅地金を100%使用する場合に比べ約8%のCO2排出量削減につながるという。
国内で家電リサイクル法に基づき廃棄される家電4製品(テレビ、エアコン、冷蔵庫、洗濯機)は、リサイクル工場で個々の資源に分別後、循環されている。その中の銅資源(銅リサイクル原料)については、多くが銅精錬メーカーで銅地金に再生される形で循環されるが、その精錬過程で多くのCO2が排出されている。
そこで、今回の循環スキームでは、パナソニックグループの企業であるパナソニックETソリューションズが、リサイクル工場で解体、選別された銅リサイクル原料を、分離選別工程の精緻化により不純物が少なくなるように高品位に分別する。さらに、この銅リサイクル原料を、古河電工と連携して成分分析値のクロスチェックを実施する。
これによりPEXは、銅リサイクル原料を銅精錬メーカーに戻すことなく、古河電工に直接供給する。一方、古河電工は、銅地金と一部置き換えても諸特性が安定する製造条件を新たに確立し、配線器具用銅合金「NFC-11」の製造におけるCO2発生量を約8%低減することに成功した。
NFC-11を製造する古河電工の日光伸銅工場(栃木県日光市)では、古河電工グループが所有する水力発電によるクリーンエネルギーを100%使用し、環境負荷の少ない銅製品を提供しており、NFC-11をパナソニック製品に使用することで「銅の資源循環」と「CO2排出量の削減」を同時に実現する。
今後は両社で今回の循環スキームで培った銅リサイクル原料の活用ノウハウを、その他のパナソニック製品にも水平展開し、さらなる環境負荷軽減に貢献する方針だ。
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