銅の代替へ、規格化されたアルミ冷媒配管をパナソニックがメーカー保証開始:製造マネジメントニュース(1/2 ページ)
アルミ配管設備工業会(APEA)は、銅に代わる材料としてアルミを冷媒配管に使用するために、配管の規格化を行った。パナソニックでは2022年8月5日、それを受けて2022年9月受注分からアルミ冷媒配管で施工した業務用電気空調機器のメーカー機器保証を開始すると発表した。
アルミ配管設備工業会(APEA)は、銅に代わる材料としてアルミを冷媒配管に使用するために、配管の規格化を行った。これを受けて、パナソニックでは2022年8月5日、同年9月受注分からアルミ冷媒配管で施工した業務用電気空調機器のメーカー機器保証を開始すると発表した。
従来設備配管に用いられてきた素材は銅がほとんどだった。しかし、カーボンニュートラル化への取り組みが広がる中、EV(電気自動車)を含む電動化がさまざまな産業で進んでいる。電池や配線などで銅は必須であり、需要が高まる中で価格高騰や調達懸念が生まれてきた。
そこで、銅に代わりアルミ素材を用いた配管の技術開発や市場創出を目指して2018年に設立されたのがAPEAである。APEAでは空調機メーカーや配管メーカー、工具メーカーなど80社が参加し、アルミ配管における規格や指針の策定、これらの技術セミナーの開催などを行っている。
アルミ配管設備工業会 代表理事 込山治良氏は「従来は設備配管においてアルミニウムを使うという発想はなく、規格なども未整備だった。腐食に弱いために使えないと考えていたからだ。ただ、銅を取り巻く環境の変化もあり、冷媒配管であれば腐食の影響を受けにくいため、活用の検討を開始した」と語っている。
APEAでは2018年12月に冷媒用被覆アルミニウム合金管の規格「APEA 1001:2018」を策定。これを2021年12月に改訂(APEA 1001:2021)している。さらに、冷媒用被覆アルミニウム合金管施工指針として「APEA 3001:2020」を2020年4月に策定し、さらにこれを改訂した「APEA 3001:2022」を2022年3月に公開している。
アルミ冷媒配管に切り替えるメリットとして、CO2排出量削減効果が得られるという。「現状で銅のリサイクル率は45%程度だが、アルミニウムは85%もあり、各サイズの重量におけるCO2排出量原単位を推計すると、約30%の削減率を実現できる」(込山氏)。さらに、アルミニウムは銅に比べて軽い他、銅配管で必要な窒素封入工程を削減できるため「施工性についても20%削減が可能だ」と込山氏は語っている。既に国内でもアルミ冷媒配管システムの実績は23件あるが「今のところクレームはゼロだ」(込山氏)としている。
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