スバルは2025年度業績未定も「まずは営業利益1000億円」、電動化投資は見直し:製造マネジメントニュース
SUBARU(スバル)が2024年度(2025年3月期)連結業績と2025年度連結業績見通しを発表。米国の関税政策の動向など事業環境が不透明なことから2025年度連結業績見通しは未定としたものの「まずは営業利益1000億円レベルを狙う」(同社 代表取締役社長 CEOの大崎篤氏)とした。
SUBARU(スバル)は2025年5月14日、2024年度(2025年3月期)連結業績と2025年度連結業績見通しを発表した。米国の関税政策の動向など事業環境が不透明なことから2025年度連結業績見通しは未定としたものの「まずは営業利益1000億円レベルを狙う」(同社 代表取締役社長 CEOの大崎篤氏)とした。また、主力の北米市場でEV(電気自動車)販売台数の伸びが鈍化していることから電動化投資を見直す方針を示した。
SUBARUの2024年度の連結販売台数は前年度比4.1%減の93万6000台、生産台数は同2.4%減の94万6000台。海外市場における在庫適正化に向けた生産/出荷調整を進めたもののおおむね前期並みの実績となった。国内市場で新型「フォレスター」や「アウトバック」を中心に販売台数が伸び、2024年12月に導入した「クロストレック ストロングハイブリッド」も好調だった。米国市場の出荷台数は前年度比で減少したものの、小売販売は好調で2025年3月時点で32カ月連続前年超えを記録している。カナダ市場も好調で出荷台数が前年度を上回り過去最高を記録した。
2024年度の連結業績は、売上高が前年度比0.4%減の4兆6858億円、営業利益が同13.4%減の4053億円、税引き前利益が同15.8%減の4485億円、親会社の所有者に帰属する当期利益が同12.2%減の3381億円となった。営業利益の減益要因としては、連結販売台数の減少と販売奨励金の増加を挙げている。
2025年度については、EVの自社生産に向けて矢島工場(群馬県太田市)の2つある生産ラインのうち1つを止める工事影響を織り込んで、連結販売台数と生産台数ともに90万台を目標に据える。なお、連結業績見通しについては、米国の関税政策の動向など事業環境が不透明なため「未定」とした。大崎氏は「特に影響の大きい米国の関税政策について、仮に2025年度を通じて影響を受けた場合においても、さまざまな対策を講じ、まずは営業利益1000億円レベルを狙うとともに、生産性向上と収益機会の創出に取り組み、さらなる収益の積み上げも目指す」と強調する。
2023年度が連結販売台数97万6000台で営業利益4682億円、2024年度が同93万6000台で営業利益4053億円。関税影響がない場合、2025年度の連結販売台数90万台に対して営業利益は3500億円程度が想定されるため、SUBARUは現時点では2500億円程度の関税影響を想定していることになる。
また、2025年春から北米市場で販売を開始し、好調な売れ行きを見せている新型フォレスターの米国工場での生産を2025年秋から始めることを明らかにした。投資金額は約400億円。一方、将来の電動化シフトに向けた成長投資については「大きな方針に変更はないものの、変化の激しい足元の状況に加え、中長期での当社を取り巻く外部環境なども見据えて、あらためて投資時期を含めた計画の見直しを進める」(大崎氏)としている。
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