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EVシフトでSUBARUが描く次世代のモノづくりの在り方電動化(1/3 ページ)

SUBARUが日立オートメーションやJR Automation Technologiesとともに次世代モノづくりの在り方や構想について語った。

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 SUBARU(スバル)は、日立製作所のイベント「Hitachi Social Innovation Forum 2024 Japan」において、日立オートメーションやJR Automation Technologiesとともに次世代モノづくりの在り方や構想について語った。

EVシフトで新工場建設、課題は

 スバル 常務執行役員 CMzO(最高モノづくり責任者)の渡邊郁夫氏は「自動車が100年に一度の大変革期にあるのを実感しているところ。カーボンニュートラルや電動化、新興メーカーとの競争など非連続な変化が従来にないスピード感で起きている」と危機感を語る。

 スバルは2030年までにEV(電気自動車)だけで販売比率50%を目指す計画だ。「高い競争力がなければ市場で勝っていくことができないが、環境規制やユーザーの嗜好が変化するため、見通しが難しい状況にある」(渡邊氏)。

 EV比率50%という目標はいったん設定したものの、スバルの事業規模では過渡期をどう乗り切るかがポイントになるという。そこでカギを握るのが、柔軟性や拡張性だ。EV専用ラインで生産するだけでなく混流ラインも用意し、自社生産のみにこだわらずアライアンスも活用している。EV販売比率50%に向けて、120万台プラスアルファのキャパシティーを構えながら柔軟性を持って臨む。

 スバルは群馬県大泉町のパワーユニット工場の敷地にあるモータープール(車両の一時保管エリア)跡地を利用して、EV専用の新工場の建設をはじめた。50年ぶりの国内新工場だが、「人材とノウハウに課題がある」と渡邊氏は語る。白紙から工場を作る機会を生かして、モノと情報の流れを整えるのが非常に重要な取り組みになるとしている。

 スバルのラインビルドにおいて日米で協力する日立オートメーションやJR Automation Technologiesは、製造業が置かれている環境や生産現場に必要な協力について語った。

 日立オートメーション 取締役社長の新井美帆氏は「取引先の経営課題を理解し、ITやOTで解決方法を創出、それを実装して運用、保守し、次の課題解決に取り組むLUMADAサイクルでの価値提供を目指している」と語った。ITとOTをつなぐシステムインテグレーションを強化するため、日立グループは北米のJR Automation Technologiesを買収し、国内では日立オートメーションを設立した。

 製造業の環境の変化を振り返って、新井氏は「50年前は人口のボーナス期だったが現在は人口オーナス期にある。また、当時は規制が緩やかで、他の先進国を手本に製造技術や品質を磨くなど新興国ならではの伸びしろがあったが、現在は先進国としてトライアルアンドエラーが簡単にできないポジションでもある。かつてのように長時間労働を許容する価値観でもなくなった」と述べた。

 生産技術の自前主義やトライアルアンドエラーの繰り返し、カイゼン活動、“背中を見て学ぶ”といった過去の在り方から脱却し、協調領域と競争領域を見極めながら、デジタルエンジニアリングのさらなる活用や、フロントラインワーカーの革新などが進められていくと日立オートメーションは考えている。「今、非常に大きな転換期を迎えていると感じている」(新井氏)。

 JR Automation Technologiesは2200人の従業員と複数の拠点を擁する。社員の50%がエンジニアだ。大半の事業拠点は米国にあり、売り上げの8割以上が米国向けだ。現在、欧州とアジアへの拡大に力を入れている。そのため直近ではマイクロオートメーションを買収した。

 北米の製造業について、JR Automation TechnologiesのCEOであるデイブ・デグラーフ氏は自動車メーカーを例に「自動車メーカーがコアの部分を持ち、サプライヤーがそれ以外の部分を手掛けるという構図で、電動化でも同様だ。われわれがシステムインテグレーターとしてサプライヤーのビジネスに参加することで、自動車のコアの部分にも入っていけるようになると考えている」と説明した。

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