沖縄でフィルム型ペロブスカイト太陽電池の実証開始 台風や塩害の影響を評価:材料技術
積水化学工業、積水ソーラーフィルム(SSF)、沖縄電力、ユニチカの4社は、台風や塩害などの影響を受ける沖縄県宮古島市で、防草シートに設置したフィルム型ペロブスカイト太陽電池の共同実証研究を2025年3月18日に開始したと発表した。
積水化学工業、積水ソーラーフィルム(SSF)、沖縄電力、ユニチカの4社は2025年4月16日、台風や塩害などの影響を受ける沖縄県宮古島市で、防草シートに設置したフィルム型ペロブスカイト太陽電池の共同実証研究を同年3月18日に開始したと発表した。
同実証研究の背景
国内では2050年にカーボンニュートラル実現を目指し再生可能エネルギー(再エネ)の導入拡大が求められており、太陽光発電はその主力電源とされている。しかし、日本は平地面積が少なく従来のシリコン系太陽電池では適地が限られることが課題となっている。
一方、フィルム型ペロブスカイト太陽電池には軽量で柔軟という特徴があり、従来は設置が難しかった場所に簡易に適用できる可能性があることから、再エネ導入量を拡大できる有力な選択肢として期待されている。
日本全体での再エネ拡大には、沖縄特有の台風や塩害などによるフィルム型ペロブスカイト太陽電池への影響を評価することも必要であることから、沖縄県内で初めてとなる実証実験を開始した。
同実証の概要
同実証では、積水化学製フィルム型ペロブスカイト太陽電池をユニチカ製防草シートへ設置し、沖縄県宮古島市(沖縄電力管理敷地内)の台風や塩害の影響が大きい地点で実証する。これにより耐風および耐塩害の評価を中心に検証していく。
具体的には防草シート上に約10m2のフィルム型ペロブスカイト太陽電池を設置する。実証期間は2025年3月18日から約1年間。実証内容は台風/塩害などによる防草シートへ設置したフィルム型ペロブスカイト太陽電池への影響評価を行う他、簡易設置/施工方法を検証する。簡易設置/施工方法の検証では施工時間は4.5時間で、強風対策に特殊アンカーを使用する。
今後は、沖縄電力とSSFによる定期点検、実証結果を基に、フィルム型ペロブスカイト太陽電池の耐候性能の改善や防草シートとペロブスカイト太陽電池との簡易設置/施工方法などを確立していく。
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