自動車に不可欠なモーターとパワー半導体、東芝の戦略は:車載半導体(5/5 ページ)
車載用半導体にどのように取り組むのか。東芝デバイス&ストレージが説明会を開き、戦略を紹介した。
製品開発力の強化によりパッケージや使用電圧など特性仕様のラインアップを増強する他、前工程での300mmウエハーラインの展開や後工程でのタイ工場の増強や姫路工場の新棟建設により生産能力も倍増させる。前工程の生産能力は3.5倍に、車載用の後工程は2倍に生産能力を増やして需要に対応していく。
ゾーン型アーキテクチャの通信も想定
電装部品の増加などにより需要が高まるモーターコントロールドライバでは、ゲートドライバと周辺部品を1チップ化し、実装面積を半減させて小型化を図る。ゲートドライバと電源、パワーサプライ、マイコン、データなどのインタフェースは個別の部品になっていたが、東芝のインテグレーション技術を生かして1チップ化した。
また、東芝独自のベクトル制御用ハードウェアと安価なCPUの組み合わせでさまざまなモーター制御に対応し、高機能化とコスト低減を両立する。モーター制御に特化した命令で電力性能比を向上させる他、技術環境の変化に追従できる柔軟性も確保する。鉄道やエレベーター向けで培ってきた制御を活用して車載用モーターの高性能化にも取り組む。
モーターコントロールドライバ向けのソフトウェア開発環境として、評価ソフトウェアをWeb上で提供している。モーターの初期パラメータを導き出し、評価を始めやすくする。
ゾーン型のアーキテクチャでは、車載通信規格であるCXPIによって末端のECUが通信すると見込む。CXPIは、低遅延が求められるステアリングスイッチや、挟み込み防止などをエッジ側で処理する必要のあるサンルーフなどの用途に向く。CXPI単体のICや、コントローラーと組み合わせたハードウェア制御IC、マイコンやモーター制御まで組み合わせたCXPI内蔵マイコンなどをそろえ、高性能で通信まで可能なICとして展開していく。
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