ホンダは2024年10月9日、新型EV(電気自動車)「0シリーズ」に搭載予定の次世代技術を発表した。
0シリーズとその開発アプローチは2024年1月のCESで披露された。0シリーズのコンセプトモデルとして、「SALOON(サルーン)」と「SPACE-HUB(スペース ハブ)」の2台が発表されている。2025年1月のCESでは、次世代技術や電動化に向けた考え方の具現化として、0シリーズの新モデルを発表する。0シリーズは2026年からグローバルで投入する予定だ。
0シリーズが目指すのは、「Thin, Light, and Wise.(薄く、軽く、賢く)」だ。現在のEV市場はスペック競争が激化しており、1回の充電で走行できる距離の長さや、デジタル技術のための車載コンピュータの性能などを競う傾向が強い。走行距離を延ばすためにバッテリーの搭載量を増やしてきた結果、車体が大型化してEVは“厚く、重くなっている”と見て、“薄く、軽く、賢く”を軸にホンダらしさを追求する。
薄く軽く
0シリーズには新開発のEV専用プラットフォームを採用する。2.0GPa級ホットスタンプ材(超高張力鋼板)を使用し、薄く低全高なスタイリングと乗員の安心安全を両立させる。薄型のバッテリーパックや新開発の小型eAxleも組み合わせることで、重量物を低く、車両の中心に配置する。車両の挙動が安定し、軽快な走りを実現するとしている。
新開発の小型eAxleは、HEV(ハイブリッド車)で培ったモーターやインバーターの技術を活用し、小型化と高効率化を実現する。インバーターは40%の小型化により横型配置のパッケージとし、低全高のスタイリングと居住空間の最大化を図る。
薄型バッテリーパックは、6000トンクラスのメガキャスト(高圧高精度鋳造)と3D摩擦攪拌接合(FSW)を採用して6%の薄型化を図る。メガキャストにより、これまで60点以上あった部品数を5点に大きく削減した。FSWは、モデルサイズによって異なる専用部品と共通部品を接合するのに用いる。多様な部品を効率よく作り分けることができ、生産効率の向上と投資抑制につなげる。
衝突時の加重を分散するボディー構造とすることで、これまではバッテリーの衝突保護のために確保していたスペースを削減し、バッテリーの搭載可能面積も拡大した。軽量で薄型のバッテリーパックを最大効率で搭載することができ、走行距離の拡大に寄与するという。また、HEVを中心とする500万台以上の電動車の走行実績を基にバッテリーの劣化を診断/予測することで、10年後のバッテリー劣化率を10%以下に抑える。
この他、車速などに応じてフロア下のフロントエアロディフレクターを自動で作動させ、空気抵抗を低減する「アクティブエアロダイナミクスシステム」や、コーナリング時に車体をしならせる挙動を与えてタイヤへの荷重をコントロールするボディー剛性マネジメント技術も採用する。ボディー構造をシンプルにすることで、従来比で約100kgの軽量化も図る。
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