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シートベルトはドライバーに何とか着用してもらうために進化した:いまさら聞けない 電装部品入門(16)(1/5 ページ)
自動車の安全システムとして長い歴史を持っているのがシートベルトだ。現在は、装着するのが当たり前になっているが、ここまで来るのにさまざまないきさつやシステムの進化があった。また、衝突事故時に乗員を座席に固定するプリテンショナーをはじめ、今でも進化を続けているシステムでもある。
今でこそシートベルトの装着は当たり前になりましたが、シートベルトという機構が生み出されてから装着が義務化されるまでにはさまざまな議論が交わされました。
かなり昔から義務化されているように思えますが、実は一般道での前席シートベルトの着用が義務化されたのは1992年(平成4年)になってからです。
前席シートベルトの着用が罰則付きで義務化された主な理由を簡潔に申し上げると、
- シートベルトを装着していることで事故発生時の死亡率が飛躍的に減少する
- 単独事故の場合は自身を含む乗員の命を守れる
- 加害事故の場合は被害者側の命も守れる
といった点が挙げられます。
自賠責保険と同じで、罰則ありの義務化を強行しなければシートベルトの着用率は向上せず、事故による死亡率を下げることが困難だったというのも背景にあります。
視点を少し変えると、事故があった場合(被害/加害の両方)に、乗員がシートベルトを着用していれば死亡事故にならなかったのに……ということも十分に起こり得るわけです。
しかし残念なことに、「シートベルトをしていると束縛されている感じがする」という理由や、近所までだから大丈夫だろうという安易な気持ちによって装着しないケースが相次ぎ、せっかくの義務化も最大限の効果を果たせていませんでした。
そこで電気的な機構(警告音など)を設けることで乗員に装着を促し、装着していなければ気になって煩わしくなるような仕組みも順次義務化されていきました。
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