初代リーフの部品が風力発電に、ジヤトコが2025年度の採用目指す:脱炭素
ジヤトコとゼファーは「人とくるまのテクノロジー展 2024 YOKOHAMA」において、EVの駆動用モーターとインバーターを再利用した風力発電の取り組みを発表した。
ジヤトコとゼファーは「人とくるまのテクノロジー展 2024 YOKOHAMA」(2024年5月22〜24日、パシフィコ横浜)において、EV(電気自動車)の駆動用モーターとインバーターを再利用した風力発電の取り組みを発表した。
両社は、日産自動車のEV「リーフ」の初代モデルから取り出した駆動用モーターとインバーターを使った中型風力発電の開発を進めている。既に実証機を茨城県神栖市に設置した。2025年度に電力会社での採用を目指す。
今後EVの廃棄が増えていくことを想定し、使用済みバッテリーを活用する取り組みは各所で行われている。バッテリー以外もリユースできる可能性を探る中で風力発電の開発がスタートした。
駆動用モーターとインバーターは、車両に搭載していた状態から手を加えることなく搭載している。ラジエーターも初代リーフのものを流用する。風力発電はEVと比べてモーターにかかる負荷は低いが、基本的には連続運転のため(必要に応じて止めることはできる)、熱マネジメントやそれにかかわる部品の耐久性が要求される。
ジヤトコは減速比が100対1の増速機を手掛ける。風力発電向けは初めての試みだ。ギア系の自動車部品の強みを生かして静粛性を向上させた点が特徴だ。風力発電は、設置場所を中心にゴロゴロという騒音が発生する。静粛性を高めることで、普及にも寄与すると見込む。
車載以外でのリユースでEV部品を使いこなすには、部品の素性や制御系を把握できていることが重要だ。風力発電開発の取り組みもジヤトコが日産のEV部品を扱っていることが大きい。
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