建築用3Dプリンタ技術とWPC工法を融合させたハイブリッド建築物が完成:3Dプリンタニュース
百年住宅は、建築用3Dプリンタ技術とプレハブ建築のWPC工法を融合させたハイブリッド建築によるトイレ建屋を完成させた。鉄筋コンクリート構造と比べ、構造躯体の組立工期を約4分の1に短縮している。
百年住宅は2025年2月17日、建築用3Dプリンタの技術とプレハブ建築のWPC(壁式プレキャスト鉄筋コンクリート)工法を融合させたハイブリッド建築によるトイレ建屋を完成させたと発表した。通常の鉄筋コンクリート構造と比べ、構造躯体の組み立て工期を約4分の1に短縮している。
SBSマイホームセンター静岡展示場(静岡県静岡市駿河区)内に、延べ面積54.97m2、プレキャストコンクリート(PC)板組み立て工法の鉄筋コンクリート造の公衆トイレとして建築した。工期は約2カ月で、部材の組み立て期間は約4日間だった。
今回のハイブリッド建築は、同社が長年培ってきたPCパネルの工場製造技術の活用と、セレンディクスとのオープンイノベーションによる協業から派生して開発されたものだという。
建築用3Dプリンタは「TAM」を採用。移動が比較的簡単なアーム式で、材料にはモルタルと添加剤をオリジナルで配合したものを使用している。構造躯体にはPCパネル部材を現場で組み立てるWPC工法を採用し、構造躯体を囲むように建築用3Dプリンタで制作した部材を設置。従来の鉄筋コンクリート造で困難だった円形や曲線、表面の凹凸を3Dプリンタによって表現している。
部材は同社で製作。3Dプリンタ部材は13種類に分かれていることに加え、中空構造で軽量化しているため、容易に大型トラックで運搬できる。現地で組み立てた後に、コンクリートと鉄筋を中空部分へ差し込み連結させる。
今回開発したハイブリッド工法は、さまざまな建物への応用でき、大地震や、国が進める住宅ストック政策にも対応可能だ。
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