フィルム型ペロブスカイト太陽電池を風車タワーに設置するための実証実験を開始:材料技術
積水化学工業、四電エンジニアリング、頴娃風力発電の3社は、フィルム型ペロブスカイト太陽電池を風車タワーの側面に設置するための共同実証実験を頴娃風力発電所(鹿児島県南九州市)で2025年2月24日に開始した。
積水化学工業(以下、積水化学)や四電エンジニアリング、頴娃風力発電の3社は2025年2月27日、フィルム型ペロブスカイト太陽電池を風車タワーの側面に設置するための共同実証実験を頴娃風力発電所(鹿児島県南九州市)で同月24日に開始したと発表した。頴娃風力発電は四電エンジニアリングの100%子会社だ。
実証実験の概要
今回の実証実験は、積水化学が製造するフィルム型ペロブスカイト太陽電池を、四電エンジニアリングの設置/施工技術を用いて、頴娃風力が運営する発電所の風車タワー側面へ設置。施工性および火山灰やちりの表面付着による表面防汚機能の評価などを検証していく。
設置場所は頴娃風力発電所の風力発電タワー側面(南面/桜島側の2面)で、1m2のフィルム型ペロブスカイト太陽電池を20枚設置する。実証期間は2025年2月24日から4年間。実証内容は風車タワーを想定した、垂直曲面設備(テーパー状)への設置/施工方法の検証、火山灰/ちりによるペロブスカイトへの影響把握だ。
今後はこの実証試験で得られた結果を、ペロブスカイト太陽電池の防汚機能の改善やテーパー状の垂直曲面設備への設置方法確立へ生かしていくことで、ペロブスカイト太陽電池の適用拡大による脱炭素社会実現への貢献を目指していく。
実証実験実施の背景
2050年に脱炭素社会実現に向けて再生可能エネルギーの導入拡大が求められており太陽光発電はその主力電源とされているが、日本は平地面積が少なく従来のシリコン系太陽電池では適地が限られることが課題として挙げられる。
一方、フィルム型ペロブスカイト太陽電池は、軽量で柔軟という特徴があり、従来設置が難しかった場所に適用できる可能性が増すことから、再エネ導入量を拡大できる有力な選択肢として期待されている。
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