2024年度通期の業績見通し
2024年度(2025年3月期)通期の業績見通しは、売上高が前年度比4.2%増の47兆円、営業利益が同12.2%減の4兆7000億円、当期純利益が同8.6%減の4兆5200億円を見込んでいる。
営業利益は前回の予想から4000億円増に上方修正した。価格改定や販売奨励金(インセンティブ)の抑制、バリューチェーン収益の拡大など5650億円の原価改善を計画している他、為替レートの影響が4850億円のプラスになる見込みだ。人や成長領域への投資は合計で8300億円となり、計画通り実施するとしている。
2024年度通期の連結販売台数の見通しは、前回の予想を据え置き940万台(前年度比0.4%減)とした。トヨタ/レクサス販売台数も予想を据え置いた1010万台(同2.0%減)だ。
トヨタ自動車 CFOの宮崎洋一氏は、上方修正につながった原価改善の努力について、「実現の土台になるのは生産レベルの回復と安定化に加えて、商品力の維持、各国の学び合いがある」と説明した。商品軸や地域軸の経営を一層推進する中で、稼ぐ力をさらに引き上げる手応えを得たという。
人や成長領域への投資を8300億円に増やす中で、職場環境の改善や働き方改革、産業全体の魅力向上に取り組んできたとしている。成長領域を広げる複数のプロジェクトが進行中だ。CESで進捗を発表した「Woven City」、中国での独資によるEVや電池の新会社設立、米国での電池生産などをその例として挙げた。
米国のバッテリー工場で生産開始
トヨタ自動車は2025年2月5日、米国ノースカロライナ州の車載用電池工場の生産準備が完了し、同年4月から北米の電動車向けに電池の出荷を始めると発表した。
生産準備が完了したToyota Battery Manufacturing, North Carolinaは米国では11カ所目の生産拠点で、HEVやPHEV、EV向けの電池を生産する。トヨタ自動車としては初めて米国で電動車向けの電池を生産する。Toyota Battery Manufacturing, North Carolinaへの投資額は140億ドル(約2兆1400億円)で、5000人の雇用を創出する計画だ。出資比率はToyota Motor North Americaが90%、豊田通商が10%となる。
これにより、トヨタ自動車の米国での累計投資額は490億ドル(約7兆5100億円)、雇用創出の規模は28万人に上るという。
上海に独資でEVを一貫して手掛ける新会社
トヨタ自動車は2025年2月5日、中国上海市政府とカーボンニュートラルに関する包括的提携を契約し、上海市金山区でEVと電池の開発や生産を行う新会社を独資で設立すると発表した。新会社ではレクサスブランドのEVを新規に開発し、2027年以降に生産を開始する。
生産能力は当面の間年間10万台程度で、立ち上げ時は1000人程度の新規雇用を計画している。中国のローカルメンバーが主体となり、企画や開発から生産までを一貫して行い、ユーザーのニーズに合ったEVをより迅速に提供していく。
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