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“トヨタらしいSDV”の開発へ、NTTと5000億円かけてモビリティAI基盤を構築自動運転技術(1/3 ページ)

トヨタ自動車とNTTは、交通事故ゼロ社会の実現に向けたモビリティ分野におけるAI/通信の共同取り組みに関する合意内容について説明。ヒト、モビリティ、インフラが「三位一体」で絶えずつながり協調して交通事故ゼロの実現につなげる「モビリティAI基盤」の構築に向けて、2030年度までに両社折半で合計5000億円の投資を行う方針である。

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 トヨタ自動車と日本電信電話(NTT)は2024年10月31日、東京都内とオンラインで会見を開き、交通事故ゼロ社会の実現に向けたモビリティ分野におけるAI/通信の共同取り組みに関する合意内容について説明した。ヒト、モビリティ、インフラが「三位一体」で絶えずつながり協調して交通事故ゼロの実現につなげる「モビリティAI基盤」の構築に向けて、2030年度までに両社折半で合計5000億円の投資を行う方針である。

トヨタ自動車 代表取締役社長の佐藤恒治氏(左)とNTT 代表取締役社長の島田明氏(右)
トヨタ自動車 代表取締役社長の佐藤恒治氏(左)とNTT 代表取締役社長の島田明氏(右)[クリックで拡大] 出所:トヨタ自動車、NTT
「三位一体」での交通事故ゼロ社会のイメージ
「三位一体」での交通事故ゼロ社会のイメージ[クリックで拡大] 出所:トヨタ自動車、NTT

 トヨタ自動車 代表取締役社長の佐藤恒治氏は「NTTとトヨタの原点は『人々の暮らしをもっと豊かにしたい』という志にある。この思いの下で、2017年にコネクテッドカーのデータ処理基盤で協業を開始し、2020年にはスマートシティーの基盤づくりをテーマにさらに協業関係を深めてきた。今回は次のステップとしてモビリティAI基盤を構築し、クルマの未来を変える取り組みを加速していきたい」と語る。

 一方、NTT 代表取締役社長の島田明氏は「クルマと情報通信が一体となって、暮らしを豊かにする社会基盤をつくるという両社協業ビジョンを具現化するステップを、モビリティAI基盤の構築に向けた取り組みによってトヨタ自動車とともに踏み出せることに大変興奮している。AI(人工知能)と通信でクルマの未来を変えていきたい」と述べる。

「分散型計算基盤」「インテリジェント通信基盤」「AI基盤」から構成

 モビリティAI基盤は、「分散型計算基盤」「インテリジェント通信基盤」「AI基盤」の3つから構成される。1つ目の分散型計算基盤は、AI(人工知能)で膨大なデータを分析/処理するための計算資源(データセンター)を、NTTが展開する光ベース技術によるネットワーク構想「IOWN」の光通信技術を活用し、分散した場所に設置する。再生可能エネルギーが豊富な地域に立地させることで電力の地産地消の実現と、分散した計算資源やAIの連携、処理における高い電力効率を実現することで、データ分析/処理に必要となる膨大な電力のグリーン化を推進する。

モビリティAI基盤は「分散型計算基盤」「インテリジェント通信基盤」「AI基盤」の3つから構成される
モビリティAI基盤は「分散型計算基盤」「インテリジェント通信基盤」「AI基盤」の3つから構成される[クリックで拡大] 出所:トヨタ自動車、NTT

 2つ目のインテリジェント通信基盤は、市街地や地方/郊外などのさまざまな交通環境や状況に適した切れ目ない通信により、ヒト、モビリティ、インフラを協調させる仕組みを構築する。信頼性が高いことに加え、大容量のデータに対する低遅延な通信を実現できる。そして3つ目のAI基盤は、分散型計算基盤とインテリジェント通信基盤を土台にして、ヒト、モビリティ、インフラからの多様なデータを学習/推論してAIモデルを作り出し、自動運転やAIエージェントなどのさまざまなサービスの実装や新たな価値創出につなげる。

 モビリティAI基盤の開発は今回の発表同日から構想フェーズに入り、2025年から本格開発に入る。まずは国内向けのサービス提供に向けて開発を進め、2028年ごろからは両社以外のパートナーを加えて、三位一体でのインフラ協調による社会実装を開始する。5000億円の投資を終える2030年以降は普及拡大を目指していく方針だ。

モビリティAI基盤のロードマップ
モビリティAI基盤のロードマップ[クリックで拡大] 出所:NTT

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