中国の新車生産は低迷続く、日本の減産は法規対応の遅れも影響:自動車メーカー生産動向(1/3 ページ)
好調だった2023年の反動により、日系自動車メーカーの減産傾向が続いている。2024年11月の日系自動車メーカー8社の生産は、半導体の供給改善によって2023年11月が高水準の生産だったことで国内、海外ともに前年割れを余儀なくされた。
好調だった2023年の反動により、日系自動車メーカーの減産傾向が続いている。2024年11月の日系自動車メーカー8社の生産は、半導体の供給改善によって2023年11月が高水準の生産だったことで国内、海外ともに前年割れを余儀なくされた。さらに電気自動車(EV)の販売競争が激化する中国市場の低迷も続いている他、ダイハツ工業では認証不正問題の影響で2024年11月から始まった法規対応に一部車種が間に合わない事態も発生し、国内生産の減産要因となった。
8社合計の世界生産は、前年同月比11.0%減の212万2162台と7カ月連続で減少した。前年実績を上回ったのはスズキのみ。特に8社合計の国内生産は、同14.0%減の70万4886台と大きく減らし、4カ月連続で減少。8社全てが前年割れだった。法規対応の遅れでダイハツは4割減らすなど厳しい結果となった。
8社合計の海外生産も、前年同月比9.4%減の141万7276台と低迷し、7カ月連続で減少した。地域別では競争激化が続く中国が同19.4%減と大幅減となり10カ月連続のマイナス。北米は、リコールにより長らく生産停止していたトヨタ自動車が生産を再開したものの、ホンダや日産自動車の減産などにより、同4.6%減と4カ月連続の前年割れだった。
国内 | 海外 | (うち北米) | (うち中国) | 合計 | |
---|---|---|---|---|---|
トヨタ | 285,761 | 583,469 | 172,867 | 169,409 | 869,230 |
▲ 9.3 | ▲ 4.6 | ▲ 0.8 | ▲ 1.6 | ▲ 6.2 | |
ホンダ | 63,850 | 266,137 | 137,161 | 80,384 | 329,987 |
▲ 16.3 | ▲ 21.3 | ▲ 5.7 | ▲ 38.4 | ▲ 20.4 | |
日産 | 61,231 | 210,749 | 93,991 | 64,990 | 271,980 |
▲ 10.8 | ▲ 15.2 | ▲ 9.7 | ▲ 26.2 | ▲ 14.3 | |
スズキ | 86,523 | 183,151 | - | - | 269,674 |
▲ 4.8 | 6.6 | - | - | 2.7 | |
ダイハツ | 50,559 | 67,386 | - | - | 117,945 |
▲ 39.6 | ▲ 11.0 | - | - | ▲ 26.0 | |
マツダ | 59,458 | 41,020 | 28,049 | 7,371 | 100,478 |
▲ 19.2 | 1.5 | 7.9 | ▲ 15.4 | ▲ 11.9 | |
スバル | 54,552 | 28,542 | 28,542 | - | 83,094 |
▲ 6.5 | ▲ 13.6 | ▲ 13.6 | - | ▲ 9.1 | |
三菱自 | 42,952 | 36,822 | - | - | 79,774 |
▲ 19.0 | ▲ 17.4 | - | - | ▲ 18.3 | |
合計 | 704,886 | 1,417,276 | 460,610 | 322,154 | 2,122,162 |
▲ 14.0 | ▲ 9.4 | ▲ 4.6 | ▲ 19.4 | ▲ 11.0 | |
※上段は台数、下段は前年比増減率。単位:台、% ※北米は、米国、カナダ、メキシコの合計 |
トヨタ自動車
メーカー別に見ると、トヨタの11月のグローバル生産台数は、前年同月比6.2%減の86万9230台と10カ月連続のマイナスだった。
このうち国内生産は、前年同月比9.3%減の28万5761台と2カ月ぶりにマイナスへ転じた。認証不正問題の「ヤリスクロス」や「カローラフィールダー」「カローラアクシオ」の生産を9月に3カ月ぶりに再開したものの、前年が半導体の供給改善で高水準だったことに加えて、「ランドクルーザー」などを生産する吉原工場と、「アルファード」や「ノア」などを生産するトヨタ車体の富士松工場を11月7日から11日まで稼働停止したことが響いた。
海外生産も振るわず、前年同月比4.6%減の58万3469台と9カ月連続で前年実績を下回った。地域別で見ると、主要市場の北米は、運転席エアバッグのリコールで長らく停止していた「レクサスTX」と「グランドハイランダー」の生産を再開したことで、同0.8%減と4カ月連続の減少ながら、前年並みまで回復した。
中国は、依然としてEVの販売競争が続いているものの、新型「グランビア」や「シエナ」、EV「bZ3」の好調などにより前年同月比1.6%減にとどめたが10カ月連続で減少だった。中国以外のアジアはさらに厳しく、ローン審査の厳格化などにより主力拠点のタイが同20.5%減、インドネシアも同15.0%減と低迷。フィリピン(同34.4%減)やマレーシア(同10.1%減)も落ち込みが目立った。
インドは「アーバンクルーザーハイランダー」や「イノーバハイクロス」などの好調や稼働日が多かったこともあり前年同月比33.1%増と大幅増だったが、アジアトータルでは同3.6%減と10カ月連続で前年実績を下回った。欧州も稼働日が少なかったため同18.0%減と大きく落ち込み2カ月連続のマイナスだった。
ただ、販売自体は好調で、米国の「ブラックフライデー」セールなどもあり海外販売が11月として過去最高を記録。その結果、グローバル販売も前年同期比1.7%増の92万569台と11月として過去最高を記録した。
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