中国の新車生産は低迷続く、日本の減産は法規対応の遅れも影響:自動車メーカー生産動向(3/3 ページ)
好調だった2023年の反動により、日系自動車メーカーの減産傾向が続いている。2024年11月の日系自動車メーカー8社の生産は、半導体の供給改善によって2023年11月が高水準の生産だったことで国内、海外ともに前年割れを余儀なくされた。
マツダ
マツダの11月のグローバル生産台数は、前年同月比11.9%減の10万478台と4カ月連続のマイナスだった。中でも主力の国内生産が同19.2%減の5万9458台と4カ月連続で減少。車種別では主力車種の「CX-5」が北米などでの販売減を理由に同36.3%減と大幅減産したのが響いた。「CX-30」も同12.0%減と低迷。一方「マツダ3」は同12.8%増と伸長した。輸出も欧州や北米向けの落ち込みが目立ち、同16.7%減と2桁%減だった。
海外生産は、前年同月比1.5%増の4万1020台と8カ月連続で前年実績を上回ったが、増加幅は大きく縮小した。このうち北米は、メキシコが「マツダ2」や「CX-3」の増加で同1.6%増と4カ月連続でプラスとなった他、「CX-50」の販売が堅調な米国は同23.5%増と伸長した。一方、タイはマツダ2やマツダ3が減少し、同2.3%減と7カ月ぶりにマイナスへ転じた。中国も新型EV「EZ-6」の生産が開始されたが、マツダ3の減少により同15.4%減と5カ月連続で前年実績を下回った。
スバル
SUBARU(スバル)の11月のグローバル生産は、前年同月比9.1%減の8万3094台と2カ月ぶりに減少した。8社の順位では、三菱自動車を上回る7位を8月から4カ月連続で維持している。国内生産は、同6.5%減の5万4552台と2カ月ぶりのマイナス。輸出向けの生産計画の見直しによる減産で、輸出も同11.6%減と3カ月ぶりのマイナスだった。唯一の海外生産拠点である米国生産はさらに落ち込み、同13.6%減の2万8542台と2カ月ぶりに減少した。ただ、スバルでは計画通りの生産を実施できているとしている。
三菱自動車
三菱自動車の11月のグローバル生産台数は、前年同月比18.3%減の7万9774台と10カ月連続でマイナスだった。スバルを下回り、8社の順位では最下位。国内生産が、同19.0%減の4万2952台と4カ月連続で減少した。前年に投入した「デリカミニ」が一巡したことに加えて、日産向けOEM(相手先ブランドによる生産)供給するEV「サクラ」や「ルークス」の低迷、輸出向け「アウトランダー」のガソリン車の減産などが要因となった。輸出は同6.6%増と4カ月ぶりのプラスだった。
海外生産も、前年同月比17.4%減の3万6822台と2カ月ぶりに減少した。主要地域である東南アジアは、最大拠点を構えるタイは同21.8%減と依然として厳しく、インドネシアも同17.0%減と振るわなかった。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
関連記事
自動車産業が2035年に目指す姿や危機感をまとめたビジョンを発表
日本自動車工業会は自動車産業からモビリティ産業への変革に向けて目指す姿をまとめた「自工会ビジョン2035」を発表した。中国で急成長するEREVはグローバル自動車市場の“本命”になり得るか
EVシフトが著しい中国で急激に販売を伸ばしているのがレンジエクステンダーを搭載するEREV(Extended Range Electric Vehicle)である。なぜ今、BEVが普及する中国の自動車市場でEREVが急成長しているのだろうか。さらには、中国のみならず、グローバル自動車市場の“本命”になり得るのだろうか。世界でEV需要増が頭打ち、充電インフラ不足に懸念
EYは、電気自動車などモビリティの購買動向に関する調査を実施し「EY Global Mobility Consumer Index」を発表した。世界で電気自動車の需要増加は頭打ちとなっている。国内外で減少傾向続く新車生産、中国は減少幅が小さく
日系自動車メーカーの減産傾向が続いている。2024年10月の日系自動車メーカー8社の生産は、国内外で伸び悩んだ。2035年まであと10年、来るべきEVシフトにどのように備えるべきか
多くの環境規制が一つの目標に設定している2035年まで、あと10年に迫ってきた。日々の報道では、EVシフトに関してネガティブとポジティブが錯綜し、何がどうなっているのか分かりにくいという声も多い。では、自動車産業に携わる方は、EVシフトに対して、いま何を考え、どのように備えておくべきであろうか。ASEANのEVシフトはどう進む? 現地の最新状況を解説
三菱UFJリサーチ&コンサルティングのタイ法人MU Research and Consulting (Thailand)のコンサルタントである池内勇人氏が「ASEAN自動車市場 〜電動化の進展における主な論点〜」をテーマに行った講演を一部紹介する。第2次トランプ政権の関税問題で日本企業の右往左往が始まりそう
メキシコやカナダへの投資は大きな影響を受けそうです。