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自動車産業が2035年に目指す姿や危機感をまとめたビジョンを発表脱炭素(1/4 ページ)

日本自動車工業会は自動車産業からモビリティ産業への変革に向けて目指す姿をまとめた「自工会ビジョン2035」を発表した。

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 日本自動車工業会は2025年1月7日、自動車産業からモビリティ産業への変革に向けて目指す姿をまとめた「自工会ビジョン2035」を発表した。

 自工会ビジョン2035では、自動車産業のこれまでの実績や貢献を振り返りながら、自動車産業を取り巻く環境の変化や2035年に向けた課題や危機感を整理した。そして、課題を乗り越えて目指す姿やモビリティの未来について紹介するとともに、他の産業や政府とともに取り組みたいテーマなどにも触れる。

 「日本の自動車産業の競争力の基盤は、企業努力や“550万人の仲間”によって長い歴史の中で形成されてきた。それだけでなく、社会全体からの理解もあって成立している。情勢が混沌とし、技術が進歩する中で自動車業界の事業活動は大きく変化するが、競争力のある産業基盤が社会全体からの理解によって成り立つ構造は将来にわたって普遍的なのではないか。自動車からモビリティに変革する中でのワクワク感も発信し、若い世代やスタートアップにも興味を持ってもらいたい」(日本自動車工業会 副会長・専務理事の松永明氏)

 自工会ビジョン2035の策定は、自工会の会員企業が検討チームのメンバーを指名して社長直轄事業として進めてきた。2024年5月から2週間に1回以上の頻度で議論を重ねてきたという。

自動車産業の貢献

 自動車産業の経済波及効果(最終需要が1単位発生した場合に各部門の生産がどれだけ発生するかを示す係数)は、二輪車が2.839、乗用車が2.737、トラック/バス/その他自動車が2.658で他の産業を含めてもトップ3にランクインするという。自動車部品/同付属品は2.404で6位だ(いずれも2020年の実績)。二輪車は工場が多いため乗用車よりも経済波及効果が大きい。

 自動車関連産業としては、製造や利用、資材、販売、整備など全体で約550万人が働いている。日本の全就業人口の8%が自動車関連産業で働いていることになる。自動車工場が立地するのは26都道府県。輸送用機械の国内総生産(GDP)は2022年で13.9兆円に上るなど、首都圏だけでなく地方経済も支えているとしている。


自動車産業の経済波及効果[クリックで拡大] 出所:自工会

国内工場の立地やGDP[クリックで拡大] 出所:自工会

 社会的な要請が高まるCO2排出削減への貢献もまとめた。輸送セクターのうち陸上輸送に関わるCO2排出量は、2022年時点で日本は2000年比27%減、欧州は同3%増、米国は6%減となっている。軽自動車を含めた燃費改善技術やHEVが大きく貢献したとしている。

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