半導体実装工程材料、副資材の世界市場は低迷期を脱してプラス成長へ:製造マネジメントニュース
矢野経済研究所は、半導体実装工程材料と副資材の世界市場に関する調査結果を発表した。2024年の同市場は低迷期を脱し、2025年以降は多くの品目で3〜8%前後のプラス成長を予測する。
矢野経済研究所は2025年1月15日、半導体実装工程材料と副資材の世界市場に関する調査結果を発表した。2024年の同市場は低迷期を脱し、2025年以降は多くの品目で3〜8%前後のプラス成長を予測する。
2020年の新型コロナウイルス感染症の流行以降、在宅勤務やオンライン授業が普及し、スマートフォンやPCなど環境整備によるIT機器の需要が拡大。データ通信量の大幅な増加でデータセンターなどの大型投資が続き、半導体需要が増加した。2022年以降はIT機器需要が一巡し、半導体需要の減退を招いた。
同市場はこうした半導体需要の動きにリンクしており、2023年に底打ちして回復に転じた。2024年は低迷から脱し、メーカー出荷数量ベースで見た市場規模は、BGテープが前年比112.3%の1830万m2、DCテープが同108.5%の2610万m2、DAF/DDFが同112.8%の485万m2、DAPが同107.0%の123t、EMCが同107.1%の141500t、LMCが同121.4%の170t、CUFが同108.3%の143tを見込む。
半導体封止材では、EMC(エポキシモールディングコンパウンド)を使ったトランスファ方式の樹脂成形が一般的だが、先端パッケージではLMC(液状エポキシ封止材)の採用が主流となる。一方でLMCはパッケージの反りに課題があり、EMCでも低反り性を高めるため顆粒材(グラニュール)の開発、投入が進み、コンプレッション成形方式を使った先端パッケージ向けに展開されている。
コンプレッション成形方式は、樹脂を直接キャビティに入れ、溶融後にワークを浸して樹脂成形する樹脂封止方法だ。樹脂の使用効率が100%近くになるほか、成形時に樹脂流動がほぼないため、チップやワイヤへの影響を抑え、材料費を低減できる。
また、先端パッケージの1種となるHBM(High Bandwidth Memory)製品の積層技術では、絶縁接着フィルム(NCF:Non Conductive Film)を積層後、熱や圧力(Thermo-Compression)を加えてチップを結合するTC-NCF方式が標準となる。これに対し韓国のSK hynixは、高性能化するメモリ製品のニーズに対応するため、HBM3以降、LCMUF(Liquid Compression Mold Underfill、液状モールドアンダーフィル材)を使った独自プロセスMR-MUF(Mass reflow-molded underfill)方式を採用。競合するSamsung Electronicsに大きな優位性を築いた。
16層以上のHBMの積層技術では、バンプピッチの観点からTC-NCF方式、MR-MUF方式とも限界がきているとされ、新たにCu-Cu接合によるハイブリッドボンディング(Hybrid Copper Bonding:HCB)方式が注目を集めている。SK hynixでもHCBは開発途上で、こうした技術のターニングポイントが半導体材料メーカーにとって参入機会となる。材料を予測する先見性と技術力が、次世代の半導体材料市場を制するとしている。
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