車載半導体市場は2030年に586億ドル、マイコンとアナログICは成長鈍化:車載半導体
矢野経済研究所は2020年4月2日、車載半導体の世界市場の見通しを発表した。ADAS(先進運転支援システム)のセンサーや電動車向けのパワー半導体の需要が市場をけん引し、2030年には2019年比1.8倍となる586億ドル(約6兆3762億円)に拡大すると見込む。
矢野経済研究所は2020年4月2日、車載半導体の世界市場の見通しを発表した。ADAS(先進運転支援システム)のセンサーや電動車向けのパワー半導体の需要が市場をけん引し、2030年には2019年比1.8倍となる586億ドル(約6兆3762億円)に拡大すると見込む。
2030年に向けて車載半導体の需要をけん引するのは、ADASや自動運転、電動化、コネクテッドカーの3分野であり、センサーやパワー半導体、メモリICの成長が期待できるという。センサーは、カメラ用CMOSイメージセンサーやレーダー用送受信チップの数量が拡大する。パワー半導体についても、2026年ごろからSiCパワー半導体の搭載が本格的に進展する見通しだ。電動化では、車両1台あたりのモーター搭載個数の増加を受けて、モーター制御用パワー半導体の需要が拡大している。また、LEDライトや電源電圧が48Vのマイルドハイブリッドシステム、電動ポンプなどが市場を押し上げる。
足元では、2018年の車載半導体の市場規模が前年比6.0%増の310.9億ドルだった。このうち、最も市場規模が大きいのはECU(電子制御ユニット)の電源回路などで必要なアナログICで、マイコン、センサー、パワー半導体、メモリICと続く。2019年は新車販売台数がマイナス成長だったため、マイコンとアナログICの成長は鈍化したが、ADASや電動化の進展でセンサーやパワー半導体、メモリICについては堅調に推移し、2019年の車載半導体の市場規模は前年比1.0%増の314.1億ドルになるとしている。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
関連記事
- 2030年の車載電装システム市場、電動パワトレが2018年比8倍の18兆円に
富士キメラ総研は2020年3月12日、車載電装システムの市場調査結果を発表した。電動化の進展や、ADAS(先進運転支援システム)と自動運転システムの普及により市場が大幅に拡大し、2030年には2018年比でほぼ倍増の48兆9120億円に成長する見込みだ。 - 全樹脂電池を量産へ、「リチウムイオン電池の理想構造」
次世代リチウムイオン電池を手掛けるベンチャー企業のAPBは2020年3月4日、第三者割当増資によって約80億円を調達し、「全樹脂電池」の工場設立や量産技術の確立に投資すると発表した。出資したのは、JFEケミカル、JXTGイノベーションパートナーズ、大林組、慶應イノベーション・イニシアティブ1号投資事業有限責任組合、帝人、長瀬産業、横河電機の7社だ。 - CASEで搭載増える車載電子部品、ボトルネックとなる信頼性評価の受託強化
OKIエンジニアリングは2019年11月に群馬県伊勢崎市に「群馬カーエレクトロニクス テストラボ」を開設。CASEなどにより車載電子部品が大幅に増える中で、ボトルネックとなる信頼性評価の受託を強化していく方針である。 - レクサスの安全システムをトヨタ車で民主化、ハード変更せずにコストを抑制
トヨタ自動車は2020年2月3日、東京都内で記者向けに説明会を開き、運転支援システムパッケージ「Toyota Safety Sense」や今後の安全システムの展開を発表した。 - 新型Eクラスが2020年夏に欧州で発売、ADASはきめ細かく進化
Daimler(ダイムラー)は2020年3月3日、メルセデスベンツブランド「Eクラス」の新モデルを発表した。2020年夏から欧州でEクラスのSaloonとEstateの販売を開始し、ロングホイールベースのSaloonやCoupe、Cabrioletも続けて発売する。 - プロジェクター化するヘッドランプ、動くモノに追従した部分消灯が課題に
オートハイビームは軽自動車にも搭載されるなど広く普及しているが、プレミアムブランドや上位車種向けのヘッドランプは、部分的に消灯する技術の高精度化が進む。消灯する範囲を最小限に抑えるほど、他のより多くの部分にヘッドランプの光が当たり、歩行者や自転車、障害物を認知しやすくなる。各社の取り組みから、ヘッドランプの最前線を追う。