NEDOがドローン航路と自動運転支援道を実証、デジタルライフライン整備の端緒に:自動運転技術(2/2 ページ)
NEDOが、2022〜2024年度の3カ年で取り組んでいる産業DXプロジェクトの内、「ドローン航路」や「自動運転サービス支援道」などの整備を進める「デジタルライフラインの先行実装基盤」の概要と実証実験の予定について説明した。
ドローン航路は秩父と浜松、自動運転支援道は日立市と新東名で実証実験
「ドローン航路」は、現在は事業者ごとに行っている、飛行経路リスク評価や自治体、地上/上空関係者への調整/周知、離発着場/緊急着陸場など運航設備の準備などを統合的に行うためのドローン航路システムの開発や構築、ドローン航路に関わる管理手法やルールなどの調査研究を行う事業となっている。例えば、自治体、地上/上空関係者への調整/周知については、ドローン航路システムの一括管理によって申請/調整コストを70%削減できる可能性がある。
2024年度の実証実験として、2025年3月下旬に埼玉県秩父市と静岡県浜松市の2カ所で行う計画である。秩父市では、ドローンによる送電網の点検を行う送配電事業者に対して、ドローン航路サービスの商用利用を150kmの範囲で行う。浜松市では、天竜川水系の上空における河川点検と物流事業のマルチユースで利用できるドローン航路を180kmの範囲で整備している。
「自動運転サービス支援道」では、道路側や外部状況などから得た情報を自動運転車両の運行管理委活用し、コストと安全性確保の両立に資するデータ連携基盤を構築する事業だ。対象となる自動運転車両は物流向けが中心であり、複数事業者による長距離の共同輸送を推進することで物流コストの低減を図る狙いがある。
開発するのは、道路上に設置したカメラやLiDAR(Light Detection and Ranging、ライダー)などの路側デバイス情報を連携したり、交通情報や気象状況を自動運転車両に配信したりするシステムである。また、既に取り組みが始まっている各種共同輸送については、共同輸送をとりまとめる事業者の間での連携を可能にするシステムの開発を想定している。
2024年度の実証実験として、一般道路では2025年2月27日に茨城県日立市、高速道路では2025年2月下旬〜3月上旬に新東名高速道路の沿線100kmで行う。自動運転支援や物流サービスなどのユースケース実証を通じて成果物の有効性を検証する。
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