NXPがTTTech Autoを6億2500万ドルで買収、需要高まるSDVへの対応力を強化:車載ソフトウェア
NXP Semiconductorsは、オーストリアの車載ソフトウェアベンダーであるTTTech Autoを6億2500万米ドル(約988億円)で買収すると発表した。
NXP Semiconductors(以下、NXP)は2025年1月9日、オーストリアの車載ソフトウェアベンダーであるTTTech Autoを6億2500万米ドル(約988億円)で買収すると発表した。
TTTech Autoは、2018年にオーストリアのTTTech Groupからスピンアウトする形で設立された企業だ。ADAS(先進運転支援システム)と自動運転システム(AD)市場にフォーカスして、「MotionWise」ブランドで展開する車載ミドルウェアや自動車向け機能安全に関わるソリューションを展開している。設立時には、アウディ(Audi)、インフィニオン(Infineon Technologies)、サムスン(Samsung)が出資しており、2022年にはアウディとティア1サプライヤーのアプティブ(Aptiv)が追加出資している。
NXPは、TTTech Groupが保有する35.8%分の株式を含めたTTTech Autoの株式100%を各出資社から現金で譲り受ける正式契約を締結した。車載半導体分野では競合関係にあるインフィニオンが保有するTTTech Auto株式を譲り受ける点も注目される。
TTTech Autoの従業員数は約1100人。拠点は、本社を置くオーストリアのウィーンの他、ドイツのミュンヘンとインゴルシュタット、スペインのマドリードとバルセロナ、セルビアのノービサード、ベオグラード、クロアチアのオシエク、ボスニア・ヘルツェゴビナのバニャ・ルカ、トルコのイズミル、中国の上海、韓国のソウルの12カ所に展開している。
今回の買収が各国規制当局の承認を得た後、TTTech Autoの経営陣や知的財産、資産、約1100人の従業員は、NXPのオートモーティブチームに加わる予定だ。
自動車業界は、ハードウェアとソフトウェアを高度に融合したプラットフォームベースの開発に移行しつつある。そこで重視されているのが、SDV(ソフトウェアディファインドビークル)の技術である。ある調査によれば、SDV市場は2024〜2027年にかけて年平均48%で成長すると見込まれており、2027年における世界の自動車生産台数の45%をSDVベースの車両が占めるようになっているという。
NXPは、自動車メーカーのSDVへの移行を促進するべく2024年3月に「NXP CoreRideプラットフォーム(以下、CoreRide)」を発表している。CoreRideは、S32車載プロセッサファミリー、ネットワーク製品、システムパワーマネジメント製品を包括する、業界初のオープンSDVプラットフォームだ。TTTech Autoは、CoreRideの発表時にソフトウェアパートナーのコミュニティーに加わっており、今後TTTech AutoがNXPの傘下に入ることで、CoreRideのエコシステムにおけるハードウェアとソフトウェアのさらなる緊密な統合が可能になるとしている。
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